小説

□無題
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某月某日。
買い出しの帰り道、誰かにぶつかった。


「!!!」
「…わあっ!!!」
悲鳴とともに腹部にかなりの衝撃が。
こちらは歩いていたが、向こうはどうやら全力疾走していたらしい。
「…う…痛いよ〜…」
見ると、小さな女の子が倒れている。
茶色いコートから雪を思わせる白いキュロットと薄緑のトレーナーらしきものが覗く。
青い髪は二つにくくっていた。
「すまない、大丈夫だったか?」
声をかけると、ううっとうなってから、くるっと振り返ってこっちを向いた。
少し涙ぐんでいるように見えたが、目を2〜3回こすると、彼女は微笑みながら言った。
「……だいじょうぶ!ちょっと痛いけど、ナナがまんできるよ。だって、ナナはよい子のわんこだもん!」
「…そうか」
声の調子も明るかったので一安心。
…しかしよい子のわんこって…?
「あ、でもおじさんはだいじょうぶ?」
うっ、…おじさん、か…。
心配は非常にうれしいのだが、悪意のない口調で言われるとよけいにショックだということが分かった。
そんなに老けて見えるのだろうか?
帰ったらルカに聞いてみよう。
「ああ、俺は平気だ」
「そっか、よかった♪」
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