小説

□今夜は眠れない
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ルカの寝室は大変きれいに整理された大学や仕事関係の資料置場と化している。なぜなら、
「あ、お帰り」
俺の部屋かソファでしか寝ないからだ。
「ただいま」
今日も今日とて、仕事で遅くなった俺より先にベッドの上に横になり、飲み物まで持ち込んで、ゆったりと雑誌を読んでいたりする。最初こそ『お邪魔してるぞ』と断りの言葉もあったものの、今では全くない。
それがいいことなのか悪いことなのかわからないが、それが今の二人の距離なんだろうと思うと微笑ましくなる。
今まで、こんな近くまで、他人を寄せ付けたことはなかったから。
…寄せ付けることは、出来なかったから。
だから、いつも愛しさと感謝でいっぱいになる。こいつの事を考えるたびに。
「?何笑ってるんだ?…はっ!も、もしかして!」
「もしかしない」
「そうか…貴方も狼だったのねカムイ…時間もちょうど二十五時三十九分四十秒回るし」
「細かいな」
「突っ込みどころはそこか?」
「違ったか?」
「というか、わざとはずしただろ」
「何のことだ?」
「むぅ〜とぼけるなよ」
こんな会話もご愛敬。とりあえず、明日着ていくものやら何やら準備できたので、ベッドに腰掛ける。
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