小説

□無題
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「カムイ」
「なんだ?」
「ポッキーあげる」
珍しい事もあるものだ。命の次に大事とまで言っているあのおかしを、ルカの方からくれると言い出すなんて。
「そうか、ならありがたく頂く…」
一瞬固まった。
ソファに座っているルカがポッキーをくわえて、こちらをじいっと見ている。
しかも上目遣い。
…可愛い。
いやそういうことではなく。
ルカのその体勢は…
「…ポッキーゲームか?」
「ご名答」
ポッキーをくわえたまま器用にしゃべるルカだった。
「ほら、お前のためにわざとチョコかかってない所から食べたんだから、早くしろ」
それだけ言うと目を閉じてしまった。
よく見ると、少しだけ肩が震えていた。
気のせいか頬もほんのり赤くて。
だからまずは隣に座って、抱き締めた。
「!」
何事かとルカが目を開けた瞬間を狙って、


ぽりっ


その顎に手を沿え、
最初の一口目を噛った。


end
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