小説

□バレンタインに
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「………何だこれは」
会社から持ち帰って来た大きな紙袋。
中には綺麗にラッピングされた大小様々な箱、袋。
「貰って来た」
「ああ…バレンタインか…」
ルカは無表情のまま中を物色する。
しかし、あからさまに不機嫌なオーラが漂っている。
「行事だからな。半儀式的だからな。義理だからな。全員に配られるんだからな」
焦りゆえに多少早口。
「ふーん…義理…このブランド物のネクタイもこの手編みのマフラーもこの手作りのチョコレートケーキも皆義理…」
世の、ポケットからキャバクラのマッチが見つかった旦那さんが皆漏れなく味わう気分を満喫中。
「…悪い…中身まで確認して来なかった…」
真剣な告白と、せめてプレゼントだけでも…と言うのは全て受け取っていない。
「…中身確認して、私のためにわざわざよけてきてくれるのも隠されるみたいで嫌だが…」
「…悪い…」
「カムイが謝ることじゃない。嫌なのはこのプレゼントから発される愛してますオーラ」
何が義理だと舌打ちしながら小箱を1つ開け、俺の前に突き出す。
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