小説

□無題
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俺の恋人は、いつも不機嫌そう。


「これはこれは、社長自らお越しいただけるとは」
「おはようございます、石本専務。信頼できる犬…もとえ部下を追いやって…もとえ出張に出してしまったもので…」
そこまで言ったとき、取引先の秘書がお茶を出しに来た。
「どうぞ」
俺に、愛想良く微笑む。
「………」
「どうかしましたか、タケルさん」
「あ…いえ…」
「うちの秘書に見取れてましたかな」
あははっと笑う取引相手に合わせて苦笑する。
ああ、確かに固まったのは秘書のせいだ。
今俺の横で愛らしく微笑しているこの秘書の。
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