小説
□赤い頭巾の女の子
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Yoshitaka
「……ばあさんの家に行かないで…ずっと、ずっと側にいてくれないか……赤頭巾‥好きだ…‥大好きだ…」
「じゃあ私を食べて」
「………」
「私もずっと狼の側にいたい。狼が大好きだから。だが、そんなことできないのは解ってる。だから、食べて。そうしたら側にいられるだろ。私は狼の一部になれるのだから」
「でも‥そうしたらもう喋れなくなる…抱き締める事も…」
「でも、私はニンゲンでおまえはオオカミ。きっとおまえは私より先に死ぬ。私はそんな悲しみに耐えられるほど強くはない。だからおまえより先に死にたい。お願い、私を食べて」
暫しの沈黙の後、赤頭巾は立ち上がった。