小説

□魔法の言葉
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『やだ!やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ!!』
「…………………」
見せられている携帯のムービーに写っているのは
「エイリアン…?」
「間違いなくおまえだが」
「………私デスカ?」
思わず片言。
「貴方デスガ」
「合わせて片言にしなくて良いから今すぐそれを消せ!!」
「約束破って飲み過ぎて遅くまで帰って来なかった罰」
「………人が嫌だって泣いてるのにムービー撮るその根性が考えられない」
「だってな…これ3回目だったんだぞ」
「………ぇ?」
「嫌だって言いながら泣いたのが3回目。おそらく10分置きくらいに泣いてた。ちなみにこの後同じ用に2回」
『嫌い』と言う単語を出す度に泣いた。
ルカの頬が、その時のように真っ赤になる。
「…嫌いになるぞ」
何度も泣かされた単語が本人の口からぽつりと漏れた。
――確かに…嫌だな、これは。
「…何故にやにや笑う」
「さぁ…今度酔った時の様子を全てビデオカメラで写せば解るんじゃないか?」
何の事だか解らず不満そうにしている恋人をしっかりと抱きしめて
「大丈夫。愛してる」
言うと、愛しい人は、酔っていようがいまいが、嬉しそうに微笑む。

end
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