小説

□無題
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こちらの内心も知らずに、にこにこ笑う少女。
が、次の瞬間、その表情が一変した。
「あー!!おかしがっ!!!!」
固定されたままになっている彼女の視線の先に目をやると、そこには散乱したクッキーの残骸が。
どうやら俺の足元に落ちている缶(犬型をしている)に入っていたものだったらしい。
ぶつかった時の衝撃で、中身が飛び出してしまったようだ。
「あやや…みんなのおやつだったのに……どうしよう…それにせっかくおつかいまいごにならずにいけたのに……うっ…うう…」
「…すまない」
べそをかきはじめた彼女に対し、謝る以外できなくて…
あ、いや。
「ちょっと待ってろ」
「…え?」
道路に膝をついてがそごそと自分の買い物袋を探す。
確か奥の方にしまったはず…あった。
「ほら、これ」
俺が出したのは
「…これ、ポッキー?」
「ああ。お前にやる」
「ほんと!?あっでも…おじさんの分は?」
「まだたくさんあるから大丈夫だ。いっぱい買ったもんでな」
「おじさんポッキー好きなの?」
「というより一緒に住んでいるやつがな」
あいつから携帯とポッキーを取り上げたら何が残るのだろう。
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