小説

□無題
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ルカさんが俺と母さんの愛の巣――いや冗談だって本気にするな――もとえ、家にいたのは良く考えてみれば極めて簡単な話だった。
カムイが出張に行ってて寂しかったから転がり込んで来たのだ。
「そう言えばカムイを5日程出張に追いやったような…」
「そう…もうカムイが部屋からいなくなって2日…」
「早いよ」
「で、なんとなくルージュの伝言を思い出し」
「魔女宅か。ユーミンか。」
「あの人のママに会うために今一人電車に乗ったの」
「列車じゃなくて。ってかカムイは別に母さんに叱ってもらう理由ないだろ。浮気してるはずないし。むしろ出来たら褒めてやるし」
「酷い…」
「で、バスルームにルージュの伝言は残して来たか?」
「口紅なんか持っているはずないだろ」
「百均で買ってこい」
「…うっかりメールの文字色を赤に変えて妥協したが…しまったその手が…」
「本当にしないでやれよ」
「おや、タケル。帰ってたのかい」
「うん、母さんただいま」
「あ、お義母様、おかえりなさい」
「ルカさん、ただいま」
……なんか
この家に嫁姑問題はないらしい。
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