小説

□無題
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俺がルカさんと初めて会ったのは高校のとき。
それは全くの偶然で、たまたまカムイの家に母さんからの荷物を届けに行ったときで。
その時はまだ、二人の関係は知らなかった。


それを聞かされたのは、ルカさんの方から。
それもまた偶然で、時間潰しに入ったファミレスで相席になったことがきっかけ。
『おまえ…カムイの弟の』
向こうの方が気付いて、話し掛けて来た。
『ああ…あんた、この前カムイの家に来てた…』
『カムイのコイビト』
それがこの人の自己紹介だった。
それを聞いたとき、どうしようもなく驚いた。
同性だとかそういうことではなく、
それが本当であれ嘘であれ、あの人にそんなことを言えるほど近しい人がいるということに。
そして何言かカムイについて言葉を交わしたが……記憶に残ってるのはルカさんの一方的な惚気話。
うん、まあ、良いんじゃないの。
カムイが愛してもらってるのは解ったし。
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