小説
□無題
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「…で、最愛の兄君の嫁は今ここにいます」
『…明日の朝ママから電話で叱ってもらうわマイダーリンという真っ赤なデコメールの正体はそれか…』
只今その旦那様と電話中。
「早く帰って来てルカさん引き取れと言いたいところだが、仕事は仕事。きっちり働いてこい」
『……………。ルカは今何してた？』
「寝てたよ……」
『…おまえ…何故そう不機嫌に…』
「母さんの膝枕で」
『…………』
「俺だって…俺だってここ数年してもらってないのに…」
『俺が言うのも何だが…嫁姑問題はなし？』
「全くない。むしろ意気統合。長男夫婦と同居とか俺は嫌だぞ」
『安心しろ、俺も嫌だ』
ふっ、と短く溜息を吐いてカムイは続けた。
『ルカを２日以上独りにさせたことなかったが、まさかそっちに転がり込むとは思わなかった』
「甘やかしすぎだろそれ」
『…そうかも知れない』
重い、懺悔のような呟きが聞こえた。