SILVER SOUL

□過去拍手寄せ集め
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髪留めは失くし易い



桂は何時も高い位置で髪を結っている。
しかし、今日塾に来た桂は髪を下ろしていた。
「……ヅラ、髪……」
「髪留めが無くなった」
何時も仏頂面の桂だが、今日はほんの少し機嫌が悪そうだ。
「ふーん……」
髪を下ろした姿をじいっと眺めてみる。
只でさえ女顔なのに、髪を下ろしていると本当に女みたいだ。
――可愛い。
「え?」
自分の思考回路に驚きを感じ、思わず声を出してしまった。
「ん?」
桂が怪訝そうにこちらを向く。
突然一人で声を出したのだから当然といえば当然だ。
「や、何でもねぇ」
「独り言なんて、変な奴だな」
そう言って笑う桂を見て又胸が高鳴り、
――暫くは髪留めが無くなっていたら良い。
そう思った。






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