BLEACH

□結婚談議
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ある日、一通の葉書が浮竹の元に届いた。
葉書が来るような時期でもなかったので、不思議に思いながら目を通した浮竹は、見終わった途端勢い良く立ち上がりそのまま八番隊へ向かって行った。



そのほんの少し時が経った後の八番隊隊首室。
「え、結婚?」
「そうなんだよ。今葉書が来たんだがな」
京楽に、院生の頃の同級生が今回めでたく結婚したとの報告をしている浮竹の姿が在った。
「これでまた独り身の奴が減ったなぁ」
そう言って浮竹は京楽にははっと笑い掛ける。
そんな浮竹の姿を見て、京楽は二コリと微笑みこう言った。
「で、浮竹は結婚しないの?」
「……何だって?」
突然の言葉に浮竹は一瞬耳を疑った。
それもそのはず、誰にも言ってはいないが京楽と浮竹は一応世間一般では「恋人」と言われるような仲なのだ。
その「恋人」から突然結婚を薦めるようなことを言われたのだから仕方ない。
しかし、浮竹は京楽の妙な微笑みを湛えた顔を少し見つめた後、溜息を吐いた。
「……たく……お前は……」
「あらら、ばれちゃったね」
「よくもそうくだらない事ばかりを考えつくな……」
浮竹は呆れた様な声を出す。
それを聞いて京楽は唇を尖らせた。
「だってー聞きたかったんだもん」
「いい歳して、もんとか言うな。気持ち悪いぞ」
「うわぁ、更に凹むね」
さして傷付いた様子も無く京楽がそう言うのを見て、浮竹は腰を上げた。
「何、もう帰るの?」
「ああ。仕事も残ってるしな」
カラリ、と隊首室の襖を開いた所で、浮竹はピタリと静止した。
突然立ち止まった浮竹を不思議に思い、京楽が声を掛ける。
「浮竹?気分でも悪――「俺は」
京楽の声を遮って、前を向いたままの浮竹が言った。
「俺は……お前が居ればそれで良いからっ……」
そしてピシャリと襖を勢い良く閉め、足音をたてて去って行った。
一方、残された京楽は呆然と声も無く突っ立っていた。
浮竹の足音が聞こえなくなった頃、やっと我に返る。
「はは……くだらないとか言って結局言ってくれてるじゃない」
不意打ちに思わず笑いが漏れる。
そして、浮竹の持ってきた葉書がまだ机に置かれている事に気付いた。
ひょい、と京楽はその葉書を手に取り、
「全く……焦って忘れ物かな?」
と呟いて雨乾堂へ向かって行った。



その後暫く、浮竹が京楽にからかわれ続けたのは言うまでも無い。












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