BLEACH

□眼鏡と素顔
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「石田、お前何時から眼鏡かけてんだ?」
「……は?」
突然、黒崎にそう問われた。
「かなり小さい頃からだと……」
「お前ガリ勉だからじゃねーの?」
ガリ勉という言葉に、カチンとくる。
僕の方が成績が良いからって僻んでいるんじゃないだろうな?
「認めたくないけど、多分遺伝だろうね」
そう言うと同時に、父親の顔が浮かぶ。
本当に認めたくないけど、どうやら僕は父親の形質を受け継いでしまっているようだ。
「随分嫌そうだな?」
「まぁね……」
基本的に親に似てるって言われて喜ぶ奴なんて居るんだろうか。
よっぽどのマザコンかファザコンじゃないか?それって。
「外してみろよ」
黒崎が僕の眼鏡を指差した。
「……何でだよ」
「見た事ねェから」
キッパリとそう言われて、何か意外性を求めてるんじゃないだろうなと思いながら眼鏡を外す。
「……」
「……外したけど」
無反応の黒崎をぼやけた目で見ながらそう言った。
ちょっと位反応しろよ。
「ふーん」
「ふーんって……」
「何かこうバーンと何かが変わるかなぁって思ってたんだけどな」
――少女漫画じゃないんだから変わって堪るか!!
そう怒鳴ってやろうとして眼鏡が手からすり抜ける。
カチャンと音がして眼鏡を床に落としてしまった。
「ぁ……わ……ッ」
割れていたら最悪だと思いながら、見えない目を凝らして手探りで眼鏡を探す。
「――石田」
「……へ?」
途端に視界がくっきりして、黒崎が眼鏡をかけてくれたのだという事が分かった。
目の前には、黒崎の顔。
「んー……」
「な、何だよ……」
「やっぱお前、眼鏡のがいーわ」
ニッと黒崎が笑ってそう言う。
それは、眼鏡の方が見慣れているという意味なのか、本当に眼鏡が似合っているという意味なのか。
はっきり分からなかったけど、とりあえず
「褒め言葉として受け取っておくよ」
と言っておいた。












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