BLEACH

□食欲と官能
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がつり、がつり。
大きく開かれた口に食物が次々と入っていくのを僕は眺めていた。
――よくもまぁ、そんな細い身体に。
思わず首を傾げる。
「どういう仕組みなのかな?」
「……あ?」
僕の言葉に、眼前の男――ノイトラは、何かの骨を吐き出して言った。
「だから、君の身体さ」
「……」
そう言うと、心底嫌そうな顔をされる。
大方、実験動物のような扱いを受けたという風な事を思ったんだろう。
「分かり易いなァ。別に解剖したいなんて思ってないよ」
「……どうだかな」
吐き捨てるように言って、再び食事を再開し始めた。
食物を掴み、齧り、舌で絡め取り、飲み込む。
その一連の動作の繰り返し。
僕は唯それをじっと眺める。
「……見てんじゃねぇよ、飯が不味くなる」
遂に耐え切れなくなったのか、ノイトラが不機嫌そうに言った。
「味わってなんて食べてないんだろ?」
「気持ち悪ィんだよ」
「酷いね」
――相も変わらず、口が悪い。
少しオーバーに肩を竦めると、
「兎に角、じろじろ見んじゃねぇぞ」
と僕に釘をさして三度食事に取り掛かった。
「教えてあげようか」
仕方が無いので(これ以上怒らせては手に負えない)目を少し逸らせて話し掛ける。
「何をだ」
「君が食事してる姿ってね……」
ここで一息間を置くと、ノイトラは食べる事を止めたようで唇をペロリと舐めた。
赤い舌と五の数字が覗く。
ぞくりぞくり、背筋に走る感覚。
――あァ、ソソられる。
「凄く、官能的だ」
ちらりとノイトラを見やると、馬鹿みたいに口を開けて固まっていた。
「……そういう気の抜けた顔も好きだけどね……」
少し間抜けだよと言うと、頭を殴られた。
本気でなくても相当痛い。
「――痛い」
「間抜けはお前だ」
ふい、と後ろを向かれる。
が、その耳がほんのりと桃色になっているのに気付き、満足。
「ねぇ、お菓子御馳走するから今度僕の部屋においでよ」
「……ッ誰が行くか!!」



赤く紅く長い舌。
ねぇ、その舌で絡め取って?












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