SILVER SOUL

□In a fit of jealousy
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「桂、俺次の日曜オフなんだけど」
「悪い……土方。次の日曜は空いてないんだ」
「あー……そう」
「折角の休みなのに、スマンな」
――って、お前言ってなかったっけか?



「あー……折角の休みなのによ」
ぶはぁ、と溜め息と共に煙を吐き出す。
つっても、無理に会いに行ったりなんて出来ない。
――アイツの仲間に面ァ拝まれでもしたら……。
恋人でも敵同士。
だからこそ貴重なオフなんだから――。
って。
「……我ながら辛気臭ェ」
無理なものは無理なんだから、これ以上考えたって仕方ねぇ。
景気付けに土方スペシャルを食おうかと考えた時。
「おーいヅラァ、俺此処のパフェが食いてぇんだけど」
何処かで聞いた事のある気だるげな声。
――あれ、今何つった?
嫌な予感がしてガバッと振り向く。
そして俺の予感は的中していた。
「全くお前は……少しは甘いものを控えたらどうだ?」
万屋に忠告しながらも甘味屋に入っていく後ろ姿。
見間違えるはずが無い、桂だった。
――何で、アイツと居んだよ?
俺は暫し呆然とつっ立っていたが、突如怒りがふつふつと湧いてきた。
いても立っても入られず、甘味屋の暖簾を荒々しく潜る。
俺が入って来たのを見て、桂は目を丸くした。
「ひ、土方……!?」
「ん、多串君?」
桂の言葉に万屋も顔を上げる。
こいつの手前上逃げるしか無かっただろう桂は、すぐ近くの窓から外に飛び出ていった。
勿論俺も直ぐに後を追いかける。
何か万屋が言っていたが、気にもとめなかった。



細い小道に入ると、困った様な表情の桂が俺を待っていた。
「土方……あんな所でお前に会うなんて思ってもいなかった。これからは気を付けないと――」
「あぁ、そうだな。これからお前が何処で誰と会うかっつうのを教えてくれたら其処にゃ行かねぇよ」
俺の口から紡ぎだされた言葉は、嫉妬の念に溢れていた。
自分で分かっていながら止められない。
「何か勘違いしてないか?俺と銀時は別に何も……」
「どうだか」
俺がそう言った瞬間、桂が俺の胸ぐらを荒々しく掴んだ。
一瞬息が詰まる。
細い腕にどこにそんな力があるんだという程だった。
「いい加減にしろ。違うと言っているではないか」
「わ……悪い」
そう言うと、ぱっと腕が離される。
「……今回は銀時との約束が偶々先だったんだ、分かってくれ」
「――あぁ」
桂は真面目な奴だ。
約束が先なら、先にそちらを優先するだろう。
「……悪かったよ」
「……ん」
桂の機嫌を直すように優しく口付ける。
「……誤魔化したな?」
桂が、顔を赤くしながら俺を睨んだ。



一方、銀時はといえば。
「おーい、ヅラァー……俺金無いんだけど」
食べ終えた後のパフェのカップを持って、窓から顔をだして虚しく桂の名を呼び続けていたのだった。











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