SILVER SOUL

□予知夢
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血塗れの姿で地に倒れ伏す貴方の姿を、夢に見た。



「――ッ!?」
ハッと目が覚めて、何時もの布団の中にいる事に気付く。
「ゆ、め……」
恐ろしい夢を見た。
まるで現実世界であった様なリアリティ。
周りを見渡すと、ぽつりと一つ空いた布団が目に入る。
ぞくり、と悪寒が背筋に奔った。
寝間着のまま飛び起きて、見えない姿を探す。
周りは何時もの様に賑やかで変わらないのに、アイツの存在だけが消えてしまったようで、恐かった。
「高杉……、高杉……!」
息が切れるまで走り、探し続けた俺は、疲れ切って座り込んだ。
夢に見た鮮明で残酷な光景が脳裏を掠める。
――嫌だ。
「嫌だ……っ、高杉……!」
「朝っぱらから失礼な奴だな、オイ」
突然頭上から降ってきた声は、ずっと探し続けていたアイツの声。
「た、か……杉」
「何だ、テメェ寝間着じゃねぇか」
何時もは憎らしく聞こえる声も、今日は違って響いた。
「高杉……良かった……」
「あ?何が……ってお前何泣いてんだ」
「居なくなったかと、思った……」
酷く安堵して、涙が止まらない。
未だ指先は小刻みに震えていた。
そんな俺の手に、そっと高杉の手が重ねられる。
「何があったかは知らねぇが……俺は居なくなりゃしねぇよ」
「……あぁ」
確かな手の温もりに、俺はこくり、と頷いた。
「お前、涙拭いとけよ。酷ェ顔だぜ?」
そう言って去っていく俺より少し小さく、でも逞しい背を俺はぼんやりと眺めていた。



――高杉が左目に重傷を負うのは、その二日後の事だった。












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