SILVER SOUL

□問題解決
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いきなりだが、俺こと銀さんの恋人のヅラは凄ぇ美人だ。
美人で真面目で非の打ち所が無い――と言いたいが、二つ欠点が有る。
一つ。男にモテる事。
特に捜査という名目で四六時中ヅラを追い回している真選組の瞳孔開き気味の男と、片目を包帯で隠している完全にイっちゃってるテロリストは要注意人物だ。
二つ目は……ヅラが恋人である筈の俺にやたら冷てぇところだ。



今日は久しぶりに二人っきりで俺の部屋で会っている。
神楽と新八は買い物にやってるし、暫くは帰ってこねぇ。
そういう訳で、存分にイチャイチャ出来るとふんでいた俺は後ろからヅラを抱き締めた。
すると、ヅラはサッと俺を押し返して一言。
「何だ、暑苦しいぞ銀時」
そう言ってソファに座って点けっ放しになっていたテレビを見始めた。
慌てて俺はヅラの隣に座って言う。
「おいおい、暑苦しいってのもアレだけど、折角の二人きりにテレビは無いんじゃないの!?」
「俺はニュースが気になるんだ。少し静かにしてくれ、銀時」
そう言ってヅラはニュースに真剣に耳を傾けている。
やっとニュースが終わり、俺はヅラを再び抱き締めようと試みたがヅラがサッと立ち上がってしまってそれも失敗に終わった。
「咽喉が渇いたから珈琲でも作って来る」
そう言って台所へ向かって行った。
残された俺は、ニュースから天気予報に変わったテレビ画面を虚しく見つめていた。
画面の中の結野アナはニコニコと愛想の良い表情を浮かべていて。
「あーァ、ヅラがもうちょっとこんな風になればなァ……」
「銀時、砂糖はどれ位入れれば……」
俺がそう呟くのとヅラが台所から戻って来たのは全く同じタイミングだった。
「ヅ、ヅラ……」
たらり、と俺の頬に冷や汗が流れる。
「……」
ヅラはそのまま踵を反して外に走り出てしまった。
「ちょっ……待てって!!」
勿論慌てて俺も追いかける。
やたらと逃げ足の速いヅラに必死で追いつき、細い肩を掴んだ。
「あのさ、ヅラ……」
「五月蝿い」
説明しようとする俺の声も冷たい声で返される。
「話位聞けって」
そう言ってヅラを無理矢理振り向かせると、ポタッと水滴が一滴俺の手に落ちた。
「お、おい……ヅラ、お前……」
ポタ、ポタ、と続いて水滴は俺の手を濡らして。
「何泣いて……」
「……泣いてない」
必死に涙を拭って俺から顔を逸らそうとするヅラを、俺は思わず抱き締めた。
「ヅラ、ごめん……」
「俺に構ってないで、テレビの中のアナウンサーを見ていれば良いだろう……」
そのアナウンサーに嫉妬しました、とハッキリ言った様な言葉に、俺は不謹慎ながら少し喜びを感じる。
――何だ、俺結構愛されてんじゃん。
「あーアレな……銀さんヅラが構ってくれなかったから拗ねてたのかも」
「……!それはっ……」
そこまで言ってハッと言いよどむ。
「何?」
日頃冷たい原因は其処に有ると、俺はすかさずヅラをせっついた。
「そ、それは……む、昔からの友人なのに突然変われといっても無理だろう……!」
ぎゅ、とヅラが俺の着物の袖を握ってそう言った――。
……は?って事は何ですか?
今迄のは……照れ隠し?
「ツンデレかよー……」
「そんなんじゃ……っ!」
俺の言葉に又怒り出しそうなヅラの唇に自分のを重ねる。
赤く固まったヅラの耳元に一言。
「愛してる」
「……阿呆」



その後、路上でイチャイチャしようとしたらヅラにアッパーをかまされました。












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