音のキャンバス

□Of the battlefield Merry Christmas
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あぁなんだか疲れた・・・

今日何日だっけ?

・・・12月25日?

クリスマス・・・?

そんなイベントもあったかな・・・

小さい頃はお父さんやお母さんにお兄ちゃん、みんなに囲まれて温かくて楽しくて、みんな笑いあってて幸せな日々だったなぁ


・・・あ、雪

きれい・・・

・・・寒いな

・・・なんだか とっても眠たい





赤く血に染まった大地が白く染め上げられていく

敵、味方関係なく平等に

死者、生者関係なく平等に

平等に染めていく

私を白く染めていく

私の大切な人も白く染めていく

永遠に覚めない眠りについた愛しい人

永遠に覚めない眠りについた仲間たち

私のこの手で傷付け、永遠の眠りに導いた敵たち

みんな、みんな

再びその瞼を開けることはない

もう混じり合うことのない私達

もう温もりを確かめ合うことも、鼓動を聴き合うことも、言葉を掛け合い支え合うことさえも出来ない


ただ一度

もう一度だけでも

あなたと話したい

あなたと触れ合いたい

みんなと笑いたい

みんなに会いたい

あんなことさえなければ今でも、みんなと一緒にいれたのかな・・・?






約10年前

私たちの国は今までの契りを破り、戦を始めた

いや、他国の企みにより巻込まれたと言った方がいいのだろうか

その昔、男たちのみが戦っていた時代とは違い、今は男女平等の名の元、私たち女も兵士として戦場に立っている

何も知らされずに私達はこの場に立った

いや、知ろうともしていなかった

ただ、そこにある幸せを当たり前なものだと思い

何も見ようとはしていなかった

知ることの出来るチャンスはあったはずなのに何も知ろうとしていなかった


憎しみは憎しみを生み、悲しみは悲しみを生む

終わりのない負の連鎖

愛するものを奪われた悲しみ、苦しみ、そして痛み

そんなもの分かっていた

私たちが一番分かっていたはずなのに

私たちはそれを犯した

決して繰り返してはいけない悲しみを繰り返した

決して繰り返さないと誓った苦しみを繰り返した


一体何があり、何故この戦いが始まったのだろうか

戦争をすることに何の意味があるのだろうか

命を奪い合うことに何の意味があるのだろうか

戦争以外に解決する方法はないのだろうか

命を奪い合わないと解決できない問題があるのだろうか

止めることができる人はいなかったのだろうか

この戦争は本当に、本当に始まらねばならなかったのだろうか

あの人は、みんなは、本当に死ななければならなかったのだろうか


例えどんなことを思っていたにしても声を上げなければそれは無いものと同じで

そして

この手で人を傷付けた私にはそんなことを言う資格さえない



この先

この国は

この世界は

どうなっていくのだろうか


でも・・・

今はもうそんなことなんてどうだっていい


もう、私のすべてを

この国のすべてを

この世界のすべてを

この世のすべてを


この雪が白く、何もなかったかのように染め上げればいいのに


私は眠るように雪に埋もれていった。
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