音のキャンバス

□ボダイジュ
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“ねぇ、お願い。私には隠さないで”

私が彼に言った言葉

“わかった。君にだけは嘘はつかない。君を信じるよ”

彼は確かにそう言った。


なのに

なのになぜ・・・?

なぜこのようなことに??


ねぇなぜなの?

答えて!!



私は幼いころからほかの子たちとは違って少し不思議な力をもっていた。

それは少しだけ先の未来のことがわかるということ

その力と生まれつき持っていたカンの良さで私は100%と言っていいほど未来のことが分かった。

けれど私の言葉に耳を貸してくれる人なんていなかった。

貸してくれないだけではなく私を気味悪がり避けてゆくようになった。


そんな私のことを気味悪がらず言葉を聞いてくれた彼

けれど彼もまた周りの人が持たない才能を持っていたことと不器用だったため周りから孤立していた。

私は彼に心を開いてゆき、そして彼もまた私に心を開いてくれた。

彼はとても心優しい人で、私たちはよく二人で遊んだ。

私の未来予知の力を使わない遊びや逆にそれをコントロールするような遊び、色々な遊びを二人で一生懸命考えていた。

ただ一緒にいるそれだけで私は楽しくて幸せだった


でも彼は時より悲しそうな表情や私が読み取ることのできない表情をしているときがあった

その表情を見るたび私の心は痛み、傷ついていった

けれどそれを表情に出してしまうとさらに彼が悲しみ傷ついてしまうと思い、私は必死に笑顔を作っていた。



そんなある日私は聞いてしまった

ほかの人々が彼を傷つける言葉を吐いていることを

彼がいないと思い陰口を叩いていることを

彼を直接暴言という言葉のナイフで傷つけているのを


そこでやっと私は知った

彼が時より見せる悲しそうな顔の真実を

彼が誰一人として頼っていないこと

この家との縁を切り、一人で生きてゆこうとしていること


なぜ私はこんなにも一緒にいたのに、ずっと隣にいたのに、彼の傷に気付くことができなかったのだろうか


なぜ彼は私に頼ってくれなかったのだろうか

私はずっと彼と一緒にいたのに・・・

ずっと彼のそばにいたのに・・・

私なら彼のなんだって受け止めれたのに、包み込んであげたのに・・・



ねぇ・・・


・・・あなたが壊れてしまうなら、いなくなってしまうなら、それならどうか私を消して


私がいなくなることで全てを捨てることができるなら、あなたが前に進むために必要ならば私ごと何もかも燃やしてしまって

大丈夫、私は灰となっていつまでもあなたを見守っているから





お願い・・・







もう、ごまかさなくていいんだよ

あなたの全てを私が受け止めてあげるから

あなたのその傷も涙も悲しみも



全て私が持って行くから



もう、迷わないで、あなたはあなたらしく生きればいい、あなたの信じた道を行けばいい


だからお願い


笑って



あなたはもう一人ではないのだから

いつまでも私があなたを守るから

あなたのその笑顔を守るから
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