音のキャンバス

□せっ記
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それはもう気が遠くなるほど太古の昔のこと

人類がまだ自然と共に生きていた頃

世界には多くの緑が生い茂り

その緑の中には様々なものたちが生きていた


人でないものたち

今の私たちには到底理解などできないものたちが、人類よりも遙か太古から生き

この星のことならば何でも知っていた


私たち人類はそのような偉大なるものたちと共存して生きていた

私たち人類はそれらのものから多くの知恵を授かり、繁栄していった

しかし、人類は偉大なるものらからの大いなる恩を忘れ、それらを殺し、壊す存在になっていった

人類が最も優れたもの、最も偉いものだと考えるようになっていった


森を切り開き、海を埋め立て、川を汚し、山を掘り、空を曇らせ

偉大なるものたちの生きる場所を犯し、奪っていった

やがて人類は偉大なるものたちの存在をも忘れ、そしてそれらから教えられた最も大切な教えさえ忘れ去っていった

そう偉大なるものたちが私たち人類に教えた最も大切な教え


『この世界は一人では生きてゆくことなどできない
故に森も海も川も山も空も人類も偉大なるものたちも
そしてこの星にいるありとあらゆるものらが手と手を取り合い協力していかなければならない。
これらの関係が崩れたときこの星は終わりへの道を歩み出す。
歩み出せば最後、もう誰にもその歩みを止めることはできない』


人類はこの教えを破り、忘れ、同じ人類同士で傷付け合い

偉大なるものを傷付け、森を、海を、川を、山を、空を傷付け

“破滅への道”を歩んできた

もう誰にも止めることなどできない

もし止めることができるのならば

それはきっとあらゆるものらを傷付け、壊してきた人類だけであって、人類がするべきことなのだろう

おそらくこのことは容易いことではなく、破壊をしてきたときの何倍もの時間を有し、厳しくつらい道のりとなるだろう

そして私たち人類はとても愚かな存在のため、自らの大切ものを失ってから、もう後戻りなどできないほど追いつめられてからでしかそのことに気付くことはできない

たとえ気付いたとしても今の暮らしを捨てることは容易いことではない

しかし、そのような人類でもこの星に生まれ、そして生きてきた

そして、他の者たちと違い、互いを思いやることが出来る、考えることが出来る、協力し合えることが出来る、希望を持つことが出来る

そのことに気付いたときにこそ偉大なものたちからの大切な教えを思い出すときなのだ


私たちはみな一人では何もできない
が、みなが力を合わせれば
出来ぬことなどないのだと


例え一人一人の力が小さくとも
小さな力が協力し合い
互いを支えあえば大きな力になるのだと


そう太古に教わったのだから


争いなどやめ、手と手を取り合い、この星を元の美しく清い星に

太古から生きる偉大なるものたちと再び、共存できる星に

そうなるようにするべきなのではないだろうか


大丈夫
私たち人類は太古から生きてきた偉大なるものたちに認められ

共に生きるものとして選ばれたのだから
だから

だからこそ“再生への道”を築くことが出来るのだ
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