グレィドォル
□ホワイト
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朝、あいつの「おはよう」が聞こえるまで起きてはいけない。
挨拶されたら直ぐに反応しなくてはならない。
ただし、声は出してはいけない。
あいつの指示があるまでは動いてはいけない。
食事や水分を摂取する場合も、あいつの手から受けなくてはならない。
それを拒否することはできない。
あいつが命令することには絶対服従。
求められたら与えなければならないが、求めてはいけない。
あいつと生活する上で俺が学んだ事の中での最優先事項だ。
いつも何が嬉しいのか楽しいのか分からないが、ニコニコと笑むあいつは、俺を見て何を思うんだろうか。
瞳の中は空虚で、飢えを隠せずにいるのに。
「おはよう、ゆきと」
ああ、また朝がきたのか。
悪夢というには生易しく、日常というには異常。
この日々を、なんといえば良いのだろう。
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