Nobel

□心理ゲーム
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殺したくないんです。だから人は愛さない主義なんです。死にたくないんです。だから人には愛されたくないんです。


腹の奥は阿伏兎の精液で満たされても心の中はいつもぽっかり穴が開いている。ここを埋めるピースは今腹の中に入ってる。ああ、もう穴から溢れ出てしまう。そうすると腹も心もぽっかり穴が開いてしまって俺はもう寂しさから死んでしまいそうになる。だからその前に早く蓋をしなければ。早く、いれて。溢れ出る前に。俺が気づいてしまう前に。蓋をしてしまえば、もう孤独に気付く余裕もなく俺は溺れてしまえるんだ。俺は誰かを満たすこともない無意味な射精を繰り返して、ただ殺すものか、死ぬものかと、入るべきところがあるピースを閉じ込める。入ってはいけないところにものを受け入れて、律動で掻き出されようが抉じ開けられ掃除されようが、ただただ重力に逆らって溢れるのだけは許さなかった。

これは簡単な心理ゲームだ。自分の中で簡単なルールを決めて、それに反すれば死ぬ。

俺はただ人を愛さなければいい。そして阿伏兎に愛される隙を作らなければいい。

好きなものは、殺したくなるからね。

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