Nobel

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昨日までは皆そこにいたのに。

見慣れた光景、嗅ぎ慣れた鉄臭い匂いが鼻を刺すのとほぼ同時に俺はその場で吐瀉をした。鉄の匂いと吐瀉物の匂いが混ざり合い酷い目眩に襲われた。膝をついても倒れ込んでも俯せになっても鼻を刺す鉄の匂い鉄の匂い鉄の匂い鉄の匂い。視界に入るは広がる死体とはみ出た臓物、脳みそ、血の海。なにここ、何これ、俺、何やってるの?(笑)


その海の中で一際俺の意思を惹くものの足元に行き丁寧にはみ出たものを戻してやる。臓物のあるべき場所なんていちいち把握していないからわかんない。これ、何処に入ればいいの?ていうか、お前、何やってるの?なんで死んでるの?
愛してるって言ったじゃん。そう言ったじゃん。俺を一人にしないっていったじゃん。俺最初にいったよね、人を愛せないって、愛しちゃダメだって、殺しちゃうからって。そしたらそれでいいっていったじゃん。俺は殺されないから大丈夫だっていったじゃん。嘘吐き!うそつき!嘘つき嘘吐きウソつき!!


「やっぱり誰も俺を愛してなんかなかった」


愛が足りない。

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