Nobel

□玩具
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神威はいたぶり殺すのが好きだ。散々じゃれて遊び最後には飽きて殺す。まるで猫のようだ。猫なんて、可愛すぎるか。そんな神威にしては長らく飽きていない玩具がひとつだけある。それが、この俺だ。
「阿伏兎、なんかむしゃくしゃしちゃって。セックスしようよ」
こんな色気のない誘い方があるかよ。たまには勃起してしまうほどの誘惑くらいしてくれてもいいんじゃないか。甘えるように擦り寄ってくる神威の性器は既に勃っている。仕事があるからまだ駄目だと片手で振り払っても、そんなの後回しにして。俺が言えばなんとでもなるから、と聞かない。我が儘な奴だ。てっとり早く神威の欲求を満たし仕事に戻った方が効率的だという答えを導き出した俺はさっそく神威の服を脱がしていく。



「おいおい…こりゃまた随分なこった。なんでこんなになってやがるんだァ?」
俺の目に入ったのはまだ触れてもいないのに完全に勃ち上がり先走りを漏らしている神威の性器だった。それを掬い上げるようにして輪郭をなぞると吐息が漏れる。
「最初から、こうだった訳じゃないよ。…っ、阿伏兎の声を聞いたら、こうなっ、あ、んんっ、なっちゃった」
ああ、そうかい。動じていないふりをかましても今のは正直来た。たまに変に素直なところが可愛いと思う。神威を素っ裸にして寝かせると、今度は神威が俺の服を脱がす。覆い被さるようにして首に舌を這わせればその動きに合わせるようにして肩が震えるのが堪らない。
「団長、口開けろ」
「ん…、ふ、んん、はぁ…」
舌を絡ませ唾液を流し込む。飲み下せなかった分がゆっくりと口の端から伝い加虐心を煽る。ったく、損な役回りだぜ。俺の方がこいつより、余裕ないんじゃないか?キスをしながら完全に勃起してしまっている性器をくちゅ、と弄る。神威は尿道を潰されるのが好きだ。ぐりぐりっと押してやると、シーツを握る手に力がこもる。
「…んんっ、そ、な乱暴にしたら、駄目だっ、てば、阿伏兎、あっ!」
「…駄目なのに逝くのか、団長は」
こういう加虐的なことを言うと決まって団長はきっと睨みを効かせる。それがまた堪らない。流れ出てくる精液を手で掬い口に運ぶ。
「ほれ、今度はこっちだ」
絶頂の余韻で火照っている身体を無理矢理起こし神威の頭を俺の性器に近付ける。普通の男だったら男の性器なんてくわえたくないに決まっている。俺だってあの独特の青臭さや咽に押し付けられ沸き上がるえずきには慣れないでいる。それなのにコイツときたら。
「ん、ふあ、んんっ、ぐっ、…んんんっ」
「…そんなにちんこが美味しいか?」
ぶんぶんと首を横に振る。否定したいようだが、その姿がまた滑稽で苛めてやりたくなる。咽に擦り付けるようにして激しく律動を開始する。苦しそうに俺の腕に爪を立てる神威の頭を掴み上下に揺らすと、呻きをあげた。
「ぐ、おぇっ、…っ、あぶと、んうっ!」
「…溢したら、お仕置きだからな」
そのまま咽の奥に精液を出す。きっと今のコイツは吐きたい筈なのだ。それでも必死に口を離すまい、精液を溢すまいとする神威は実に忠実で可愛らしい。他の奴の事は知らないが、団長は、神威は、絶対に俺の事を殺しはしない。どんな辱しめを与えようが、屈辱を与えようが、苦痛を与えようが、神威は決して俺を殺さないのだ。きっとなんらかのアクションや刺激を求める故のものだと思うが。


「…っ、はぁ…まっず…」
嫌そうな顔をしながら口の端から伝う涎を拭う。そんな顔をしていても、下半身は実に素直だ。
「団長ォ、後ろは自分で慣らせよ」
ゴロ、頬杖をつく体制で横になると、神威は驚いたような表情をした。なに?どういう意味?何もわかっていない神威に釘を指すように言う。
「だから、俺がいつもしてやってるように後ろに指入れて広げりゃあいいんだよ」
そういうと少しの間顔面蒼白になり、動き出す気配もない俺に頼るのは諦めたのか腰を突き上げるような体制で後ろを慣らし始めた。
「んっ…ふぁ、っ、あんま、見ないで…」
「団長ォ、逆だろ?」
「え、…っ、なに!?」
身体を反転させ壁に向けていた尻を俺の目の前に持ってくる。神威の穴に指が入っているのが丸見えで、凄く興奮する。仕方ない。少しくらいなら手伝ってやらなくもない。俺はぶら下がるようにして宙で震える神威の性器を手に取るとゆっくりとしごき始めた。
「やっ、やだ、それ、やだ!」
「やだじゃねェ。さっさと慣らさねェといつまでも入れてやらねェぞ?」
「…っ、」
諦めたように指の動きを再開させる。その動きに合わせて性器をしごいてやると、明らかにさっきよりも固くなったのがわかる。淫乱、とは、コイツのような奴のことを言うのだろうな。痴体をさらして興奮するなんて、どうかしている。
「あっ、あぁ、んんんっ!阿伏兎、も、逝く、から、これやめ、…早く、ふぁ、入れて…」
そう言いながら神威は尻に手を当て広げて見せる。全く堪え性のない奴だ。これもこれでアリだ。でも、と呟いてから、俺は神威の脇の下に手を入れ持ち上げると身体を反転させそのまま奥を突いた。
「ひううぅっ!!駄目、あ、ああっ、だめっ…!」
所謂、騎乗位という体制だ。
「入れた瞬間に逝くなんてな…」
快感から逃れようとして腰を浮かせる神威の腰を掴み激しく上下に揺らす。その度残った少量の精液が溢れ俺の腹を濡らした。
「あっ、ひうっ!やだぁ!それ、駄目ェっ!逝く!また逝っちゃうから、んんんっ!あああっ、…っ、ひううう!」
こりゃまたすげェ。こんなにぎゅうぎゅう締め付けられたのもこんなに短時間で何度も逝くのも初めてだ。腰を振る度ぷるぷると揺れる性器も力無く俺に絡み付く腕も穴が開くほど立てられた爪も息をするのも忘れ喘ぐ姿も口の端から垂れる涎も紅潮した頬も、全部全部、


「…好きだ」

俺という玩具に神威が飽きてしまっても、絶対に離してやらない。ちょっとした独占欲だ。流れる二人分の精液を見て、そう思うのだった。

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