企画
□逃亡者の幸福
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サクラと結婚してから初めての正月。
「サクラー!まだかァ!」
オレは気崩した着流しに身を包みながらソファ からサクラの部屋に向かって叫んだ。
『もうちょっと待って!!』
只今、サクラは着替え中なのでオレは大人しく待つしかなかった。
「ハァ…」
オレは新婚だしサクラと二人で初詣したかったつーのにいのの奴がサクラを誘ったばかりにオ レの希望(夢)は実現せず(絶対ェいのの奴は確信犯だぜ)、加えてサクラはなぜか気合い入れちまって着物を着ることに…
「たくよー」
サクラの着物姿見るのはオレだけでいいじゃねーかよ。なんで、わざわざナルトを始めとするサクラに気のある野郎もいる場に着物姿のサ クラを晒さなきゃなんねーんだ?
「ワフッ!!」
全部あの悪魔(いの)のせいだ…っ!!
「赤丸もそう思うよなァ?」
ソファから下りて近寄って来た赤丸の白い毛並みを撫で回す。
「?」
「よしよし、お前はわかんなくていいや。」
「クゥーン」
“つーか、サクラ遅ェな”と思っているとサクラ の部屋のドアが開いた。
「サクラ遅ェ…ょ…」
『ごめん!キバ!!』
ドアから出てきたのは普段と幾分も違うサクラ 。
「……」
『キバ?』
思わず見とれてるとサクラがめっちゃ近くに来ていた。
「!」
『大丈夫?』
「だ、どぅあ、どぅあいじょぶだ!!!」
ビュンッ、と距離を取ると煩い心臓をなだめるために胸の辺りを掴んだ。
「(落ち着け落ち着けオレエェェェエエ!!!!)」
『…なんかあったの?』
「クゥーン?」
『?』
うん。大丈夫だ。うん、大丈夫。オレはやれば出来るって、マジで。うん大丈夫大丈夫。
「よし!!」
『(なにしてんだか。)』
「サクラ行こーぜ!!」
『(ま、…いっか。)』
手を差し出すとサクラは笑ってその手をとった。