企画
□雪の妖精
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ハァー、と銀世界の中で白い息が舞い上がる。
『さむー…』
白い耳当てをし、クリーム色のコートからは黒タイツを履いた長い足が覗く。
『はー…』
白い手袋越しに息を吹き掛ける。
「!!」
『あ。』
遠目に待ち人を見つけて手を振るとその人は駆けてきた。
「バカサクラ!」
『ういっ!』
開口一番に怒られた。
「まだ待ち合わせまで10分もあんじゃねーか!寒かっただろ?たく…っ」
その人は怒ったり心配したり忙しい。
『だって寒い中もしシカマルが早く来てしまったら寒いでしょ?』
「それはお前も一緒だ、バカ!!」
その時、運悪く風が吹いて『うーっ』と震える私をその人は抱き締めた。
「風邪引いたらどうすんだよ。」
『大丈夫よ。私バカだもん。』
にへら、と笑うと「屁理屈言うなアホ」とデ コピンを食らわされた。
『シカマルが乱暴するー!』
『いのに言い付けてやる』と脅せばバツが悪そうにその人は顔をしかめると私の自慢の額を撫でてくれた。
『えへへ…』
私は頭を撫でられるのが好きらしい。
特にシカマルに撫でられるのがすごく好きだ。
「笑ってんな。ほら。」
シカマルは私が去年贈った長めのマフラーを私に巻いてくれた。
「これで良し。」
冬になると私の贈ったマフラーを二人で一緒に着けるのが定番になっていて、私はそれがしたいがためにマフラーをいつもしない。
『ふふ…っ』
だって繋がってる、って感じがするでしょう?
「ん?どうした?」
私は自分の手を後ろに回して片方の手袋を外した。
『シーカーマールッ!!』
手袋を外した手でシカマルの頬に触れれば面白いくらいシカマルの肩がビクついた。
『あははっ、かーわいー!』
「ぉ、おま…っ」
笑い続ける私に「たく、めんどくせー」と彼の口癖を口走ると片方の手袋を外して、私の手を掴むとポケットに突っ込んだ。
『!!』
「これで寒くねェだろ。」
『////』
…カッコよすぎるよ…シカマル…
『…バ-カ…』
「あ?」
『嘘々!!嘘です、ごめんなさいーっ』
シカマルが手をポケットから出そうとするものだから慌てて私は弁解した。
「たく、めんどくせー奴だな。」
『うっさい!』
口では憎まれ口を叩くけど
「…行くか。」
『うん。』
手は繋がれたまま。
『…温かいね…』
「おう。」
冬が終わらなきゃいいのに、ってこの時だけは思った。
雪の妖精
(ねぇ、シカマル!!)
(あ?)
(雪だるまリーさん!!)
(ブッ…!)
(あははははっ)
・終わり・