企画

□キミの笑顔にね。
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「おーい、飾りまだかー?」
「今小金井先輩が熊切ってるっす」
「あ、水戸部。クリームこれで足りる?」
「…」
「黒子ー?おい、黒子ー!」
「降旗黒子いた?」
「いねー」
「もしかしてサボり?」

忙しなく動き回っているのは誠凛バスケ部。まぁ、ここが体育館であったならば問題ないのだが、生憎ここは調理室。
そこにバスケ部がいるのはなぜか?

「失敬な。僕はサボってません。」
「うお!?」
「いたのかよ!!」

理由は簡単。

「まったく、僕がカントクの誕生日を祝う準備をサボるわけがないでしょう。」

そう、今日は黒子が生クリームを泡たてながら言ったように日頃感謝してもし尽くせないほど感謝してるリコの誕生日なのだ。今はその準備中ということだろう。

「つーか木吉は?」
「あ?カントクの足止め。」

部屋の飾りつけは済んだようで日向、火神、小金井は一息つく。

「本当はオレのはずだったんだけど木吉不器用だから…」
「少しはコガを見習ったらいい。…バスケ以外。」
「最後ひどくね!?」

日向の言葉に伊月は笑いながら小金井にそう告げた。
 
「先輩達、終わったのならケーキの飾りつけ手伝ってください。」
「!!」

突然背後に現れた黒子に日向、伊月、小金井は飛び跳ねるほどに驚いた。

「ば…っ、おま…!!」
「びっくりしたじゃん!!」

日向と小金井に至ってはびっくりし過ぎたのか涙目だ。

「気付かない先輩達が悪いです。
まったく。リコさんの誕生日だというのに何をしているんですか。」
「え、おま…黒子。は?」
「はい?」
「どさくさに紛れてリコさ」
「はい?」
「……」

真っ黒子様の降臨により、日向は口を閉口させざるおえなかった。

「おっ、皆できたかー?」

いざケーキの飾りつけ、という時に教室のドアが開き、木吉とリコが入ってくる。

「……」

木吉とリコが入ってくる。

「……な」
「なにしとんじゃお前はあああああ!!!!」

地響きを引き起こしかねないほどの叫びが教室を包んだ。

「なに普通にカントクと来ちゃってんの!ねぇ! ?」
「…ハッ ダンスでも踊って入ればよかったのか…っ!?」
「違ェーよ、ダアホ!!」

容赦なく木吉の胸ぐらを掴み揺する日向を止める者はいなかった。

「じゃあどうしろと!!」
「早ェーんだよ、ボケ!!」
 
というより止める気力さえ湧かなかったのだ。

『…えっと』
「!!」

びくっ、と木吉以外の部員達の肩が震えた。

『これはどういう…?』

戸惑いを隠しきれないでいるリコに言い訳も思いつかない。

「だああっ!!もう!!」
「木吉のせいだかんね!」
「えっ!?」
「本当、変なところで格好つかないっすね。オレら。」
「まぁ、それが僕達ですから。
…それと木吉先輩は後で血祭りに上げましょう。」
「あ、それ賛成。」
『…?』

首を傾げるリコを前にして皆は笑った。

「カントク(リコ)誕生日おめでとう!!」


キミの笑顔にね。


(…っ!)
(ヘヘッ、まぁ、なんだ。)
(日頃の感謝とかさ、色々あるんだよ。オレ 達。)
(…っみん、な…ありがと…っ)
(とにかくケーキの仕上げだな!!)
(あっ、カントクは座ってろ、です。)
(絶対手出しちゃダメっすよ!!)
(…あれ。違う意味で涙が…)


・終わり・
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