企画
□フレンドシップ
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『明日はオフだから皆ちゃんと体を休めること!以上、解散!!』
「おすっ!!」
カントクの解散の合図で各自着替えて皆で帰る、っていうのがいつもだけど今日はちょっとそれどころではない。
「リコと日向!今日はちょっと二人で帰ってくれ!」
『え?』
「カントク。本当にカントクと一緒に帰れないのだけは心残りですが、今日は仕方ないんです。わかってください。」
「おい、こら黒子。オレは無視か!」
「まあまあ落ち着けよ、です。とにかく今日は二人で帰ってくれ、です。」
「『……』」
カントクと日向は顔を見合わせるとお互いに首を傾げた。
「ほらっ!もう遅いし早くカントク送らないと影虎さんに怒られますよ!!」
「…」
「水戸部が“早く行って”だってさ!!」
ぐいぐい部員達に押され、カントクと日向は折れたのかそれじゃ…、と校門を後にした。残されたのは異様に爽やかすぎる笑顔でカントク達に手を振るオレ達。
「カントク達帰った?」
「はい。」
顔筋を緩めず隣の黒子に聞く。すると良い方の返事が下りたので途端に皆で円陣を組むように腕を組んだ。
「さて。皆。」
ごくり、と生唾を飲む。
「明日…日向とカントクは一線を越えるかもしれない…っ」
「!?」「僕のカントクが!?」
とりあえずどさくさに紛れて言った黒子を火神が殴る。
「痛いです。火神君。」
「今のは黒子が悪いぞー」
「…」
「水戸部が“大丈夫?”だってさ!」
ああ、このままじゃ話がずれると思い咳払いを一つする。
「いいか、お前ら。日向はな…、中学の時からカントクに思いを寄せてるんだよ。それがやっと…っ」
あぁ、長かった…っ 長かったぜ…っ!
「別に日向先輩はどうでもいいです。カントク が幸せなら。」
「…まあ、うん。とにかく日向とカントクのためにも明日の買い出しにオレらも同行するぞ!」
「うーん。逆にオレ達邪魔にならないか?」
「そうですよね。いくらキャプテン達が心配だからって着いていくのは…」
次々とブーイングが飛ぶ中オレは不敵に笑うと言った。
「別にただ着いていくわけじゃない。影ながら日向達に同行してタイミングを見計らってなんかアクシデントを…っ!」
「なんか伊月燃えてるね。」
「当たり前だろ!!お前らは知らないだろうけどな。日向はあれでもカントクを毎日口説いてんだよ!!」
「えっ」
「なのにカントクったら全然気付かないんだ…っ まぁ、そこも可愛いところではあるんだけど、流石にいい加減日向が可哀想になってきた。」
本当見てるこっちが恥ずかしくなるくらいの口説き文句を何度この耳に聞いたことか…っ
「そういえばオレ、キャプテンがカントクに“もし料理上達したらオレに毎日味噌汁作ってくれね?”って言ってたの聞いたことあります!」
「あ、オレもこないだ日向が“カントクは何歳で結婚したいんだ?”ってリコに聞いてたのを聞いた。」
「いやいや、それよりすごいのオレ聞いたことあるもんね!なんと!!“もし彼女にすんならカントクみたいな子がオレはいい。”って言ってたんだ!!」
ああ…っ、人伝なのになに、この恥ずかしさ!?
「日向先輩…頑張ってるんですね…」
「知らなかったぜ…」
なんか一年ルーキーが違う意味で日向に尊敬している…!?
「ま、まあとにかく!そんなこんなで明日は日向のために一肌脱ごう!!カントクとの幸せのためにも!!」
「おーっ!!」