企画

□証人は此処に
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ーH氏の証言ー


最近のカントクはおかしい。

『…』

妙に物思いにふけているし、

『ハァ…』

いつもなら珍しい溜め息もここ最近は毎日のように吐いている。

「リコどうしたんだ?」
「カントク聞いてもなんでもないの一点張りだからわかんないだよね。ハッ!!聞いても聞かん!!どうだ、ひゅ」
「伊月黙れ。」

とりあえず伊月を殴る。

「教室でもカントク、ずっとあんな感じなんですか?」
「あ? あー、ああ。ずっと窓の外見てポケー としてる。」
「なんでだ、です。」
「だからそれがわかんねーから話してんの!」

そーっとカントクを振り返る。

『ハァ…』
「…」

どうしたんだよ…本当…

「おっ 皆来てたの?」
「…」
「小金井先輩と水戸部先輩!!」
「あ!カントクいたよー!」

コガは誰に向かって言ってんだ?

「…?」

コガと水戸部の後ろから見覚えのある顔が浮かび上がった。

「み…っ!?」

そいつは木吉同様【無冠の五将】で独特なオネェ喋りで洛山の…っ

「実渕玲央!?」
『!?』
「はぁ〜い」

思わず全員で指を差してしまうが、温厚なのか気にした素振りもなくそれどころかひらひらと手を振っている。

「…」

つーかなんでいんだ…!?

『みっ、みみみっ、実ひゅちく…っ』

そしてカントク。いつの間に実渕の前に!?瞬間移動か!おいっ!! つか今噛んだよな!?噛んだんだよな!?可愛いんだよ、バカヤロー!!

「あっ、リコちゃん久しぶり!」
『////』

実渕に頭を撫でられてるカントクは頬を赤く染め上げながら、潤んだ瞳で実渕を見つめていた。

「…」

そう。まるで見惚れているかの如く…

「日向…」
「んだよ。」

ぽんっ、と肩に木吉の手が乗る。

「泣いても、いいんだぞ。」
「うっせ…!」

オレは齢18で初めて娘を嫁にやる父親の気持ちを味わった。


証人は此処に


(み、実渕くん…!こ、こないだはあ、あああっ、あり、ありがとう!!)
(ふふ、全然大丈夫よ!
あ、そうそう今日リコちゃんに会いに来たのはね?)
(グ…ッ)
(おーい、日向ー。眼鏡割れてんぞー)
(はははっ、まるでリコのお父さんみたいだな!!)


→続く
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