企画

□負けず嫌い
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『止めんか!!』
「!?」

私は鉄平の腕の中から飛び出し日向君たちに向かって怒鳴った。
これには日向君たちだけでなく花宮も驚いたのか目を見開いている。

『私は何もされてないし、何もしてない花宮を怒るのはお門違いもいいところだわ! 』
「あ、リコ!」

ずんずんと日向君たちの前に出る。

『そもそもこうなったのは部活に遅れた私の責任もあるし、心配してくれるのは嬉しいけどちゃんと話を聞きなさい!』
「で、でもカントク…っ」
『でもも何もない!!』

火神の言葉を途中で止めるようにダンッと地面に右足を叩きつける。

「…」
『(よし。)』

皆が静かになった所で花宮の方に振り返る。

『うちの部員が悪かったわね。でもあんたもすぐ人をバカにすんじゃないわよ。』
「…」

眉間にシワを寄せても私は怯えるほど女の子じゃない。

『で、私に用ってなに?』
「(こいつ…)」

ククッ、と突然笑い出した花宮を不審な者を見るような目で見る。

「(へー、一層欲しくなった。)」
『?』

見られた気がして首を傾げると私の視界を誰かの手が遮った。

『く、こくん…?』
「すいません、カントク」
 
「カントクを見てほしくなかったので…」と黒子君が言った。

『そんな、警戒しなくても…』

言った途端ずてっ、と皆がずっこけた。

『え?』

なんで皆ずっこけてるの?

「(に、鈍い…っ鈍すぎる…!!)」
「(…あちゃー…鈍っ)」

花宮まで呆れたように私を見ているし、私何かした?

『??』
「…まぁ、いい。おいチビ。」
『チビ言うな!!』

黒子君の手を退かし花宮を睨み付ける。

「霧崎に来い」
「!」
「オレはお前を活かせる自信がある。」

「だから来い。」と手を差し伸べられる。

「…」

皆の視線が私に集まるのがなんとなくわかった。

『…』

私を活かせる自信……、か。

『まぁ、確かにあんたなら私の他の使い道を見つけるかもしれないわね。』

ふう、と一呼吸置く。

『だが断る!!!』
「!?」

にぃ、と笑うと腰に手を当てて仁王立ちで花宮に向き合う。

『誘いは嬉しいけど私は誠凛の…誠凛バスケ 部の監督だから。』
「!!」

『ありがとう』と花宮に笑いかければ至極つまらん、といった感じで溜め息を吐いた。

「最初から期待なんてしてねぇよ。」
『あら。そうだったのー』
 
負けず嫌いという言葉が浮かんだけど言わないで置くことにした。

「ま、諦める気もねぇよ。」

…やっぱり負けず嫌い。

『ま、せいぜい頑張れば?』

『じゃーね』と種を返すと私は花宮と別れた。

「……」
「んだよ木吉。」
「いや、たださお前そんな性格だったかなー、って思って。」
「はぁ?」
「お前ならダリーとか言ってすぐ手を引くって思ってたんだが…」

だからこれは私の知らない話。

「お前、リコのこと好きだろ。」


負けず嫌い


(は?)
(あれ、もしかして違っ――)
(あんなチビ!好きなわけねぇだろバァカ!!)
(あ、図星だった。)


・終わり・
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