企画

□不滅のリーベ
2ページ/4ページ



こんな血生臭い世界にも、出逢いってのはあるもんだ。

「なぁ、白夕。」
『なに。今任務中なんだから手短にお願いね。』

コイツとの出逢いもそんな世界でだった。

「任務っつったって書類整理だろーが。
たく。暗部がやる仕事じゃねェだろ、めんどくせー」

コイツ、白夕ことサクラは誰よりも強くて優しい。

『そうね。』

オレよりも先にこんな世界にいたのにそれは変わらず、今も輝きを放ってる。

『で。そんなことが話したかったわけじゃないんでしょ?』

オレはそんな白夕の背中に憧れ、サクラの心に惹かれた。

「まぁ…」
『なら本題を早く言いなさいよ。』
「…ハァ。急かすなよめんどくせー」
『アンタが手を休めるからよ。バカ』
「バカ言うな!」

隣で面越しにくすくす笑うサクラ、いや今は白夕か。を軽く小突く。

「明日。」
『え?』

書類の出し入れを繰り返しながらオレが言った。

「明日どうせ任務もねーんだし空けとけ。」
『は?』
「言っとっけどお前に拒否権はねェ。」

赤くなった顔を隠すように白夕に背を向けていらなくなった書類を紐で縛る。

『…ップ』

背後から白夕が吹き出すのが聞こえて顔をしかめる。
 
「んだよ…」
『ううん。なーんでもないっ』

『はいっ 今日の任務しゅーりょーっ』と大きな一人言を白夕が言った。

『ねぇ、黒夕!』
「あ?」
『明日。覚えてたら空けとくわっ』

とか言ってその言い方は絶対空けといてくれんだろ? たく、本当に素直じゃねェな。

「はいはい。」
『なによーっ!?』

つーかサクラに戻ってるし

「んじゃ、明日な。」
『あ!逃げるなんてひ』

扉を閉めてしまえばサクラの声はもう聞こえない。

「ハァ…ッ」

本当にめんどくせーヤツ。

「(でも悪くねー)」


******


その日の夜は静かなものだった。

「シカマル。」

親父が来るまでは。

「あ?」

振り返ればいつものように渋い笑みを浮かべた親父が襖に寄りかかって縁側に座るオレ を見ていた。

「いのとチョウジが来てる。任務だとよ。」

柱を背に縁側に片足を放り出していたオレは大きな溜め息を吐いた。

「めんどくせーっ」
「これも忍の運命だ。」

ニヤリ、と親父が笑みを浮かべる。

「それよりシカマル。
そのお前には不釣り合いな箱はなんだ? 」

親父はオレの横に置いてある小さな桃色の箱を顎で示し言った。
 
「(…このジジィ…ッ)」

その笑みは包みの意味に気づき、且つオレをからかおうとしてるいやらしい笑みだ。

「そういえば明日は誰かさんの誕生日、だったよな?」
「めんどくせーな。」

髪の毛をがしがしとかき交ぜて照れ臭いのを誤魔化す。

「さて。オレは未来の孫と遊ぶために体力の回復にでも努めようとするか。」
「は、ハァ!?
サクラはそんなんじゃ…って話し聞けよ親父! !」

笑いながら去っていく親父に怒鳴っても笑い声が途絶えることはなかった。

「(…ったく、めんどくせー親父だ!)」

箱を手にとり立ち上がる。
箱は適当に目に見える場所に置いて、オレは家を出た。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ