企画

□空色春風
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※学パロ


少女が階段を駆け上がる度に桃色の髪が嬉しそうに揺れた。

『〜♪』

鼻歌を奏でながら階段を二段抜かしで駆け上がった少女は目的地である屋上のドアを開け一言。

『シカマルーっ!!』

ぶわっ、と風が吹き少女の髪とスカートがひらひらと舞う。

「…ハァ」

そしてシカマルと呼ばれた少年は溜め息を吐くとそれはそれはダルそうに寝転がっていた給水タンクからむくりと起き上がる。

『可愛い彼女が来たってのに溜め息?』
「……ハァ」

冗談混じりにそんなことを言う彼女、サクラ に向かって呆れたような溜め息を一つ吐くとシカマルは笑った。

「上がってこいよ。」

サクラもつられて笑う。

『うん!!』

シカマルは嬉しそうに小走りをするサクラを愛しそうに見て、それから真っ青な空を見上げた。
そうしてサクラを待つこと少し。

『お邪魔しまーす』

ひょこり、とサクラが顔を出した。

「喧しい姫のおなーりー、ってか?」
『なによ、それ…!』

シカマルがサクラに手を差し出すとサクラははにかむような笑顔でその手をとり、素直に手を引かれるままシカマルの隣に導かれた。

『てか朝からここにいたの?』
 
手をそのまま握り合うとサクラが言った。

「まーな。」
『アンタのお節介な幼馴染みが顔面般若で怒ってたわよー』
「……ハァ」

「めんどくせー」と至極うんざりしたようなシカマルにサクラは小さく笑った。

『(満更でもないくせに素直じゃないんだから…)』
「…なーに笑ってんだ。」

むにっ、とサクラと繋がれているのとは逆の手でサクラの頬をつねる。

『なんれもないふぁよ
 (なんでもないわよ)』
「聞こえねェ、聞こえねェ」

にやにやとガキ大将のような笑みを浮かべ、しばらく感触を楽しむとその手をそっと離し、糸が切れたようにサクラの太股に頭を落ち着けた。

『…忙しい奴ねー』
「男は意味もなく忙しいもんなんだよ。」
『はぁ?』
「つーことだから寝る。」

『…もう』と言いながらサクラはシカマルの頭を優しく撫でた。

『はいはい。わかったわよ…』

めんどくせー奴ね、と内心で言いながらもサクラの表情はまるで我が子を見るように優しかった。

『おやすみ』

既に寝息をたて始めている大きな子どもにサクラは口付けを一つ落とすと空を見上げて笑った。

 
空色春風




・終わり・
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