企画

□エスコートは任せなさい
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『賭け…ですか?』

火影を目の前にして首を傾げているのは木ノ葉きっての才女である春野サクラだった。

『んお〜、ヒクッ、忍は日頃から賭けをしてるようなヒク、ものだからな…ヒック』
『(昼間っからこんなにお酒なんか飲んで…、師匠ったら〜…っ)』

酒瓶片手に頬を赤らめている綱手を呆れたように一瞥し、溜め息を吐いた。
(まあ、今日は任務もないし。断ったらめんどくさそうだし…)

『わかりました。内容によってはその話乗ります。』
『ほ〜っ』

子どものように足をバタつかせる綱手に小さくサクラは笑うと一歩、綱手に近づいた。

『で。賭けってなんです?』
『んー…っと。
おー、これだこれ。』

綱手に渡された一枚の紙を見てサクラは首を傾げる。

『まあ、暗号かいどヒク、くとかー、…まあ、つまりはそーいうのをフル活用して最終目的地を目指せー!!っていうウォークラリーみたいなもんだよォ』

ウォークラリーって…、と言おうとして止めた。

『ハァ…、わかりました。』

(まあ、暇潰しにはなるかしら…)


******


サクラは図書館へ行くと綱手からもらった紙を広げた。

『(鼠、虎、鳥…いのしし…?)』
 
そこには十二支に出てくる動物の絵が描かれていて、一目見てサクラにはその絵を誰が描いたのかがわかってしまい溜め息を吐いた。

『(で、鼠と兎と蛇といのししが丸で囲まれている、と。)』

さて。これはどういう意味なのか。
サクラは目を閉じてこの四匹に関する資料を探り出す。
そして数分後、サクラは目を開けるとコキッ、と首を回した。

『(とりあえずいのに会いに行くか…。)』


******


いのは一人部屋にこもり何やら作っていた。

『いーのーちゃーん!あっそっびーましょーっ!!』

すると下の方から自分のよく知る声が聞こえてきて、いのは顔を引きつらせた。

『(来んの早いわよ!!)』

ガタッ、と席を立ち早足に自分のライバル、悪友、親友、と色々な称号を持つ人物の待つ外に向かう。

『ちょっとサクラー!!』

そして外に出た瞬間、怒りの形相でその人物を睨み付けた。

『やっ!』
『“やっ!”っじゃないわよ!!
もっとマシな呼び方はなかったわけーっ!?』

素敵な笑顔で自分を待っていたサクラにいのは溜め息を吐くと『なんの用よー?』と問いかけた。

『んー。用はないんだけど、正解がいのだったから来たのよ。』
 
『はい。』と手渡された紙を見ていのは笑うと一言『せーかい』と言ってサクラの額に デコピンをかました。

『ったー…っ
なにすんのよ!いのぶた!!』
『ふんっ!』

サクラから顔を背けいのは家に戻ってしまう。サクラはそれを見送りながらあっけなかったなー、と物足りなさを感じた時だった。

『あー、そうそう。』

入口の手前で歩みを止めると、いのが言った。

『ナルトとサスケ君が“いつもの場所”だってさ。』
『え?』
『またね〜』

いつもの場所って、と問いかけようとももういのは行ってしまいサクラは首を傾げる他なかった。

『(いつもの場所って…一楽?)』

とりあえず行こう、とサクラは顎に人差し指を当てながら歩き出した。


******


『え?ナルト来てないんですか…?』
「おう!今日はまだ見かけてねェよ」

検討が外れてしまいサクラは唇を突き出し、再度検索をかけ直す。

『(まあ、確かにサスケ君は一楽じゃないか…)』

ち…っ、と小さく舌打ちをして視線をずらした先には――

『先生!!』

かつての先生であるカカシの姿があった。
サクラは嬉々とカカシに駆け寄る。それに気づいたカカシもにこやかに手を振っていた。
 
『久しぶり!!先生っ』

カカシの前まで来るとぽふっ、と頭を撫でられた。

「いやー、しばらく見ない間にまた大きくなった?」
『本当!?』

「うん」と頷くカカシにまた何かを言おうとしてサクラは止めた。

「どうした?」

急に言葉を失ったサクラにカカシは首を傾げる。

『先生!!ありがとう!!』

ずいっ、と満足気に顔を近づけてきたサクラ に驚きながらカカシは「そ、そう?」と苦笑した。

『うん!!カカシ先生のおかげでわかったわ!! じゃーねっ』

カカシの返答など聞かずにサクラは駆け出す。

「(元気だなー)」

小さくなるサクラの世界に向かって手を伸ばしかけたカカシだったが突然振り返ったサクラに肩をビクつかせ手を下ろしてしまう。

『先生ーっ』

遠くから叫ぶサクラにカカシは首を傾げる。

『もう任務に遅刻なんかしちゃダメだからねーっ』

そう言って今度こそサクラは行ってしまう。

「……うん。気をつけるよ」

カカシはしばらくそこに立ち、サクラのいなくなった空間を見つめていたそうだ。
 
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