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□初体験はテキーラの海で
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万事屋の深夜。
怪力少女は眼鏡少年の実家へお泊りでこの家には無職同然のオーナーしかいない。…いつもなら。


狭くて固いソファの上で大の大人の男(明らかに一般以上に体格のよい)がふたり向かい合い密着して座っている。少し荒い息遣いに神妙な面持ちで互いの股間を凝視している様はまさしく異様だ。不気味以外の何物でもない。

「…なあ。今ならまだ引き返せると思うんだけど。」
「…ああ。」
「とにかく冷静にもっかい考え直そう。それがいい。」
「…ああ。」

常の銀時からは想像できないような真剣な表情に土方は吹き出しそうになったが状況が深刻なだけにすぐに気が重くなった。銀時は土方がうなだれたのを確認したあと静かに深呼吸して目を閉じた。

そうだ冷静になってよく考えろ俺そもそも俺ァホモじゃねぇ断じて違うつーか女が好きだ大好きだ巨乳とか華奢な足とか舐めまわしたいくらいだどっちかっつーとむしろ変態だいやソレは関係ねぇ確かにモテねぇがだからといって男に走れるほど器用じゃねぇまあ目の前のコイツは男女問わずモテんだろーなマヨラーで瞳孔開きっぱだけど顔綺麗だし高給取りだしキツい目元とか女が好きそうだもんなしかも普段このツラだからたまに笑いかけられたりしたらギャップってヤツが効果覿面でころっとオチんだろーなさらになんでかコイツ近寄るとヤニ臭に混じってってなんかイイ匂いすんだよそーいや少四の時隣の席だった悦子ちゃんも似たような匂いしたな
「俺が少三の時隣の席だったほのかちゃんもイイ匂いしたな」
「へえ〜…………………え?」
「全部声に出てたぞ変態」
「…マジでか」
「ちなみにほのかちゃんは俺の初恋だったが」
「言うなァァァァァ!!」
銀時が絶叫しながら土方にタックルをかましたせいで土方の顎に頭突きが入り、倒れた拍子にソファの手摺りに後頭部を打ちつけ仰向けに沈み込んだ。床にはコップやら空き缶がいくつか落ちる。
「いてェじゃねぇかァァァ!殺すぞ変態!!」
「そりゃこっちのセリフだ税金ドロボーがァァァ!なに直接的なこと言っちゃってんの!?伏せ字するとか気ィ遣えや!お前まさかコレがコで始まってイで終わる例のアレだとでも言うんじゃねぇだろーなァァァ!!!」
「テメーすでにまるまる全部言ってんじゃねぇかァァァ!」
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