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□第一種接近遭遇:土方編
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草木も眠る丑三つ時、の万事屋。
普段なら事後少し眠った後土方はさっさと屯所へ帰る。まあぶっちゃけ俺達のこんな関係を誰にも知られたくないからだ。銀時はそのまま昼過ぎまで惰眠を貧るワケだが今日は少し様子が違った。

(喉渇いた…)
珍しく目の覚めた銀時は隣でぐったり眠る男に一瞥をくれ剥き出しの体に着流しをだらし無く羽織り台所へ向かった。
押し入れにいる神楽が気になったが一度寝たら起こしても逆に寝ぼけてこちらがボコられるくらい睡眠が深いので大丈夫だろうと思い直しと蛇口を捻った。

コップを片手に寝室に戻ると何故か眠気が消えてしまい仕方なく銀時は窓際に腰掛けた。
そっと窓を開けると刀のように鋭く鈍く光る三日月。
(こりゃ酒のほうがよかったかな)
気持ちのよい風とともに月明かりが押し入る部屋をぼんやり眺めた。真ん中にひいてある布団には自分と似たような体格の男が裸で寝ている。

(…ホントありえねェ状況だな)
思わずうなだれそうになり軽く頭を振った。深く考えんのはよそう。裸の男−土方を横目に銀時はぬるい水を流し込んだ。
「ん〜…寒ィ…」
コップを傾けていた銀時は唐突に聞こえた声にギクリと肩を揺らした。
「…起きたのか?」
恐る恐る聞くと彼はもぞもぞと寝返りを打ちまた規則的な寝息を立て始めた。
「んだよ…」
ほっと息をつきぼりぼり頭を掻いた銀時はそのときふと気がついた。
(そーいやこんなじっくりコイツが寝てんの見るの初めてだな)

たいていコトが終わると二言三言かわしてすぐに背を向けて寝てしまうかヒートアップして喧嘩が始まり収拾つかないまますぐ帰るかのどちらかだ。
月明かりに曝された土方を銀時はまじまじと見つめた。

…まつげ長ェ。
サラサラの黒髪のすき間から覗く顔は普段の彼からは想像もつかないほど穏やかだ。どう見ても整った造りに若干イラッとしつつ口さえ開かなければ問題ねェのに、と銀時は何様だかわからないダメ出しをしていた。

しかし彼が再び寝返りを打ったことにより布団がパサリとめくれてしまった光景に、銀時はゴクリと喉を鳴らして固まってしまった。
剥き出しになった顎から首、鎖骨にかけてのライン。野郎のくせにやたらきめ細かい肌。そこに散る自分がつけた情事の名残。


…………………………エロい。
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