通常文

□東雲に背く狼たち
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あ。

………………うんそりゃナイありえないってアホか俺ァナニ考えてんだ全く。



前方斜め左にカップルが一組。仲よさ気に手を繋いでにこやかに見つめ合う様は幸せのおすそ分けどころか押し売りかコノヤロー。

街の喧騒に溶け込み歩くお似合いなふたりをすれ違ったあとまで目で追っていると、何故か頭の中でその光景のキャストが入れ代わった。

彼氏は、俺。

隣は…

……

だからソレはナイってば



「銀さん!なにボーっとつっ立って…あぁ」

俺の顔を覗き込んで来たメガネ−新八は、俺と俺の目線の先を交互に見ながらニヤついた。

「…ンだよ」

「い〜え別に」

溜め息をついたかと思ったら次は哀れみを込めた目を向けられた。

オイぶっ飛ばすぞオタクダメガネなんだその目はなにが言いたいんだ

「モテたいならもうちょっと努力したらどーですか」

なんだおまえエスパーなのかてかおまえにソレ言われたくねェよ

「…相手がいねェワケじゃねェし」

「ハイハイそーですね」

なにやっちゃっていいの?コイツやっちゃっていい?

パキパキ音を鳴らして拳を握りしめた途端、新八が間抜けな声を出した。

「あれ?あの人真選組の…」

新八が指差すほうを見るとそこにはもはやすっかり見慣れた黒い男と全く見慣れない別嬪が親しげにくっついて歩いていた。

頭の中で
さきほどのふたりの姿が重なる


「へェ〜あの人もやりますね。まあ男前だし公務員だしそりゃモテるか」

「…」

そりゃムカつく。

なんでアイツの横にはあんな別嬪がいて俺にはダメガネなんだアイツなんて俺と似たようなモンだろーが

「銀さんとは似ても似つかないですからね〜」

え?そーなの?それが一般的見解?俺間違ってた?

…つーか

ムカつく

なんか すげー 気分悪い




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