通常文

□伸縮し見え隠れする赤い糸
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血が騒ぐ。

染み付いた所作。

水のように途切れることなく滑らかに動く身体。




氷のように冷えて冴え渡る五感とは相反して、沸騰したかのようにぐつぐつと煮えたぎるのは、何と言う器官だろうか。










「何してる」

「ッ!」

猫のように身を翻して振り向いたが、一拍遅かったのは誰の目にも明白、既に刃は喉元へめり込み赤い筋が胸を伝う。

「…お前こそ」

「俺は仕事だ」

小さな飛沫を撒き散らし孤を描いて主の元へと戻っていったそれから糸が付いたかのように目が離せない。



だらりと力を無くした腕には木刀が握られ、立ち尽くす様は夜目でなくとも不気味で異常なのだろう。
慎重に間合いを測りながら、土方は煙草をくわえた。

「…俺も仕事帰りだっつの。早退したけど」

ぴくりと歪められた眉から動揺を感じ取ったが、それはほんの一瞬で、波打つ胸と呼応して白煙が闇へ吐き出される。

「何かすげェテンション上がっちまってよー、マジでヤバそうだったから途中で止めてきた」

「……マトモな日本語喋れや」

「だーもうホントやべェよ家賃のアテがもうねェよ今度こそババァに殺られる」

口調はいつもと変わらないのに、あさっての方向を見たまま微動だにしない銀時は、まさしく異様だろう。



「ジレンマっつーのかね」

「、オイ」

「止めたいのに止められないとか、やりたくねェのにやっちゃうとかさ」

「オイコラ動くな」

「お前のソレみてェなモンかな」

「テメッ…!」

ゆらりと揺れた固まりは(それまでは生き物にすら見えなかったが)草を踏む音の波が土方の鼓膜を揺らした時には、生き物どころか人間をも通り越してしまったかのような俊敏さで土方の脇へ移動していた。





「お前も、禁煙なんざ出来ねェだろ?」

「ッ!?」

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