通常文

□初体験はテキーラの海で
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ソファの上でハアハア息をつきながらつかみ合う様は端からみればさながらマジ喧嘩だが話の内容は小学生並だ。
銀時は一際大きな息を吐くとのそりと土方の上からどきソファに座り直した。
「…なんかすげー疲れた…」
「…珍しく気が合ったな。俺もだ」
周りからは双子のような似た者同士だと思われているとは全く気付いていないのかそんなことを言いつつ土方も起き上がり殊更慣れた動作で煙草を吸い出した。

銀時は頬杖をつきながら横目にぼんやりとその光景を眺めた。
…うん。ありゃ酔った勢いのわかりやすい過ちだな。明らかな悪ふざけの、ものすごく後を引きずる悪い見本ってやつだ。これを教訓に二度としなきゃいい。

さきほどのような座り位置や状況に五感が強烈なフラッシュバックを起こす。
そう先程キス、してしまったのだ。この男と。



…………………ありえねェ。心底マジでありえねェ。どっちかっつーとホントにコイツのことなんてどーでもイイしつーかむしろうぜェしつーか根本的にコイツ男じゃねェかァァァァ!!

徐々に近づく端正な顔。柔らかく香るものは一体なんなのか。催淫作用でもあんじゃねェのか。止まる気もあるのかないのかボンヤリした頭のまま薄く開かれた唇に吸い込まれる。軽く触れたあとペロリと舐めた。ヘビースモーカーであるはずの彼は何故か甘く。俺のいちばん好きな味。
俺のとは正反対のサラサラの髪に手を通しぐっと引き寄せる。目を見開いている彼はたぶん数秒前の俺の顔。そりゃそーなるわな。でももう俺は流されちゃったから。完璧酔ってるから。
食らいつくように口付けてスルリと舌を侵入させる。あたたかい体温を敏感な舌先に感じて上あごを撫でる。土方はびくっと肩を揺らしたあと俺の耳元あたりに手を沿え頭を掴み舌を絡ませてきた。あ〜…副長陥落ってヤツですか。まあ銀さんですらやられてるからね。
静かな深夜の室内に微かな水音が響き聴覚からも快感を伝える。息継ぎに角度を変えるたびにどちらのものとも言えない吐息が吐かれる。確実に疑いようもなく下半身に熱が積もる。このままじゃ…マジでやべェ。そう思ったときほぼ同時に土方は離れた。

そして冒頭へ戻る。

さらに今俺は…

俺は…あれ?…ちょっ…と や ばくね?
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