通常文

□狡い大人は刺激を愉しむ
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俺も相変わらず無言で煙を肺いっぱい吸うと目の前の阿呆ヅラ目掛けて吹き掛けた。

「う゛っ…ごほっ!」

涙目のばかづらに腹の中でほくそ笑む。

「…俺さァ三日前に屯所行ったんだぜ。したら山…なんだっけ?あの地味な山なんとかくんがさァにこにこしながら『副長は三週間の出張です』ってさァ…」

「…」

よし。アイツ戻ったらとりあえずシメとくか。

「つーかさァ、連絡もなしに三週間もいなくなるって…どーなのよ?なんか…一言くらいなんかあっても良くね?」

「ケータイも持ってねぇ貧乏人に言われたくねェ」

今日ここに来て初めて口を開いた俺に銀時は俯いていた顔を上げたが俺が目も合わせず喫煙者のいないこの万事屋にあるガラスの灰皿に煙草を押し付ける仕種を見遣ってまたうなだれた。

「…そーだけどさァ」

銀時はいよいよ頼りなさげな声色でつぶやき俺は爆笑したいのを堪えて新たな煙草に火を着けた。

「…つーかさァ俺だって男なワケよ!たまっちまったらヌキたいと思うワケよ!頓所に行きゃお前いねぇし、こないだたまたまパチンコ勝ったからちょっとごぶさたのお店でも行こーかな〜とか思ってもフツーだろっ!健全な成人男子だろっ!俺ホモじゃねーもんっ!」

「俺だってホモじゃねーよ」

銀時が興奮して早口でまくし立てたあと間髪入れず言ってやった。

「…っ」

諦めたのか銀時は固いソファに深く腰掛け直し天を仰ぎ目を片手で覆った。

「あ〜…もぉ〜…俺が悪かったよチキショー」


ボソリと溜息まじりにつぶやいた彼を目を丸くして見た後、土方は銀時とは対照的にうつむき顔を片手で隠し必死に震える肩を押さえた。ひとしきり笑いを耐えた後今だ天井に向かって睨みを効かせていた馬鹿を呼び寄せた。

「オイ」

「…なによ」

あからさまに警戒しつつテーブルをはさんで近づいてくるのがじれったく首元をひっつかんで銀髪のすき間にある耳に唇を寄せた。

「うおっ!何す…」

「気持ちよかったのか?」





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