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□混乱するジャンクション
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予想通り煙草をくわえしかめっつらで道行く人達を睨み付けている。今日は休みなんだろうにワーカホリックな彼らしい。

指定の時間を15分ほど過ぎて、交差点の真ん中にある時計が中途半端に曲を奏でた。

その光景を見て少し思案した後、彼が自分に気付かないのをいいことに俺は建物の陰に身を潜めた。








少し雲行きが怪しい月曜日の午後。時折強い風が吹いて、彼の着流しの裾を揺らしている。



貴重な休みに何やってンだかあの男は。




…あ。別嬪にぶつかられた。

うわー、頬染めちゃってるよ彼女。ったく女ってのはどいつもこいつもそんなに見た目が大事なんか。


そのイケメン公務員は顔色ひとつ変えず、と言うかぶつかられたことに若干眉をしかめ威嚇のように鼻から煙を吐き出している。ありゃダメだわ。最初だけだなあのヤローがモテんのはぷぷぷ。



ん?何だ…ヤロー付きかあの別嬪。


後ろから現れた男と楽しげに会話している。

彼はと言えば、心底うっとおしそうにその様子に一瞥くれた後、何本目かわからない煙草に火を付けた。

男らしくねェなァ副長さんよ。まるでカップルに嫉妬してるみてェだぜ?



…イヤ、カップルじゃなかったようだ。



男の足元から突然小さな物体が飛び出し、壁にもたれ掛かる土方の下半身に激突した。


あちゃー…ただでさえ俺に待たされてイラついてンのに、こりゃキレたかな。


その子供の身を案じ息をのんで事の行方を見守っていたのだが、その後の予想外の展開に俺は目を丸くした。





彼は、最初こそ驚いたように表情を歪めたが、子供に気付くとすぐにまだ長かった煙草を消し、ゆっくりとしゃがみ込みその子供に目線を合わせた。

大きくてごつごつした掌を小さな頭に置き、柔らかな笑みを零している。

子供ながら流石は女、その子は頬を染めうっとりその顔に魅入っていた。







なんだよ全く。


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