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□となりのせきのしらいしくん
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(となりのせきのしらいしくん)


気がつけば中学も最後の年になった。
新学期から早くも3ヶ月。
雨が鬱陶しい6月に突入していた。

「今日のHR席替えやって!近い席になれるとええなー」

そう明るく声を掛けてきたのは、きーちゃん。
(名字が北野だからきーちゃんだ。)
きーちゃんはクラスの中で一番仲良しな友達だから、そう言ってくれたのが嬉しかった。

「そうだね!
私、きーちゃんの席と近くなきゃ死んじゃうよー」

冗談めかして笑うと、きーちゃんも笑って「おーよしよし」と頭を撫でてくれた。
やっぱりきーちゃんと居るのが一番楽で、それでいて楽しい。
その後もきーちゃんとくだらない話をして馬鹿みたいに笑ってた。

「はよ席着けー HR始めんでー」

担任のやる気のなさそうな声が耳に入り、きーちゃんはようやく重い腰をあげた。

「ほな、また後でな」

そう言った、きーちゃんは自分の席に向かっていった。
(因みに、きーちゃんと私の席は結構離れている)

「今日のHRは、知ってるヤツもおるかもしれへんけど、席替えをしようと思う!
いつも通りアミダやから、さっさと選んで紙回してぇな」

先生はそう言ってアミダクジの書いてある紙を右側の列の一番前の席の子に渡した。
(渡して直ぐに椅子に座る先生を見て、適当だなぁと思ったのは内緒だ)

回ってくる紙にみんなそわそわしたり、どきどきしたり。
私もその中の1人だった。

(きーちゃんと近くの席になれますように!)
そう願掛けをしながらアミダを選んで、後ろの席の子に渡した。

新しい座席の発表に胸がどきどき脈打った。

「……はぁ…」

「もう、そう落ち込まんの!
席は離れてしもうたけど、休み時間とかそっち行くから」

(数分後、きーちゃんに励まされてる私がいた…)

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