DARK

□Whisper
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抗議を
しようか。

私はしがない
Bracksmith

貴方は高貴な
Mr.Peer


どうか

どうか私のこの剣(ツルギ)で

あなたの喉を
掻き斬らせて。







【act.1】














「我らが主、Mr.ウォーカー、どうぞお納めください」
「ミスター、何度も言わせないでくださいよ。私は剣を好みません」

 仕える貴族に品物が献上できなくて、世間体などひどいものだった。

「Mr.クラウディア、あなたの錠前は実に素晴らしい。品が良く、淑やかなデザインが称賛に値する」
「ありがたき幸せ」

 畜生、あの高飛車な錠前職人がお褒めに預かり、うちのマスターときたら、どうだ。

 品が好かないと断られ!




「マスター、主は殺人兵器を忌み嫌う。たとえそれが飾りものの剣でも、人を殺すものならひどく嫌う」
「手前、俺たちは長い歴史を持つ鍛冶屋だぞ。今更他に何を作る?」

 師は飲んだくれて、言った。

「確かに主に何も献上できない店なんてのは、あれで、それで、つまりは、ひどい店だ。それで手前がそれを恥だと思うなら、手前は高飛車なあの奴と並んで錠前でも造ればいい」

 それはそれで、いやだった。師はそれきり寝てしまって、

 それきり二度と目覚めることもなかった。







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