DARK

□短篇集
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「言葉じゃ説明できないくらい愛してるんだ」

 手を広げ、言った。

「お前さえいれば、他には何もいらないんだ」

 目の前の愛しい愛しい恋人は、歓喜に震えているのだろうか?

「ホームに帰りたい」

 おや、それはおかしい。教団という名の監獄から、連れ出してあげたというのに。

「なぜ?」
「恐いよ」

 恋人は、小さな身体を震わせる。
 なぜ?なぜ?逃げ出せた歓喜に震えていたのではなかったというの?

「あんな監獄に、もう戻ることなんかないんだ、アレン」
「いや、いや」

 ああきっと、綺麗好きなきみはこの薄汚い小屋がいやなんだね。

「じゃあもっと綺麗な屋敷を手に入れる」
「そんな問題じゃない…っ」

 なぜ?いったいなぜ?

 アレンは 俺と二人きりになりたくないのか?
 二人きりになれて、うれしくないのか?

「お前に手錠をつけておいてよかった」

 うっかりしてると、逃げるところだった。

「もっと頑丈に縛り付けてやる。俺と二人きりになれたことに感謝するまでな!!」


 少年は彼の狂気に気付いた。



THE END.
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