DARK
□短篇集
2ページ/5ページ
「言葉じゃ説明できないくらい愛してるんだ」
手を広げ、言った。
「お前さえいれば、他には何もいらないんだ」
目の前の愛しい愛しい恋人は、歓喜に震えているのだろうか?
「ホームに帰りたい」
おや、それはおかしい。教団という名の監獄から、連れ出してあげたというのに。
「なぜ?」
「恐いよ」
恋人は、小さな身体を震わせる。
なぜ?なぜ?逃げ出せた歓喜に震えていたのではなかったというの?
「あんな監獄に、もう戻ることなんかないんだ、アレン」
「いや、いや」
ああきっと、綺麗好きなきみはこの薄汚い小屋がいやなんだね。
「じゃあもっと綺麗な屋敷を手に入れる」
「そんな問題じゃない…っ」
なぜ?いったいなぜ?
アレンは 俺と二人きりになりたくないのか?
二人きりになれて、うれしくないのか?
「お前に手錠をつけておいてよかった」
うっかりしてると、逃げるところだった。
「もっと頑丈に縛り付けてやる。俺と二人きりになれたことに感謝するまでな!!」
少年は彼の狂気に気付いた。
THE END.