DARK

□短篇集
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 キスした回数
 好きと言われた回数
 抱き合った回数
 君の舌打ちした回数


 すべて記録していた。無意識に。





気持ち悪いと言われた。








「ごめんユウ…っつい癖で…」
「気味の悪い癖だ」

 泣いても、ユウは冷たく見下ろしてくるだけだった。

「イッた回数まで憶えてんだろ?今までにテメェのイッた回数言ってみろよ、くくっ」

 ユウは笑って言ったけど、その目は軽蔑の色に染まっていた。

「そんなこと…記録してない」
「うそつけよ。ヤッた回数は記録してたくせに。ほら言え!気色悪ィ癖で数えた自分の痴態曝した回数言ってみろ!!」

 ユウは俺の髪を掴んで乱暴に揺さ振った。ユウの手首を掴んでやめてと懇願したけど、やめてくれなかった。
 どんなに泣いても、ユウを余計に楽しませるだけだった。

「やめて…ユウやめて…っ」
「ならイッた回数言えよ!」
「う…ッ」

 聞こえない、と何度も何度も大声で叫ばされて、それから飲んだ回数やフェラした回数まで叫ばされた。
 何度も何度も。


「う…ッひぐ…っ」
「淫乱な奴だな!捨てられたくなきゃこれからは感じた回数も記録しとけ、この変態」



 捨てられたく、ない。




THE END.
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