01/05の日記

23:42
【ツバクロ長編】※ネタバレあり。
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【インフィニティにて】

サヤ視点。
※恋人のネタバレあり。
あの人の名前が出ちゃいます。
それでもよければどうぞ。











目が覚めた。

何もない、殺風景な部屋で。
私は機械仕掛けの冷たい椅子に固定されていた。

ぐるぐると回る頭。
ぐちゃぐちゃで、何も考えられない。


―私は、何をしていたの…?



ブウゥン。



目の前に突然、半透明な映像が映る。

その向こうで、酷く懐かしい声がした。




《 サヤ 》


『イー…グル…?』


《手荒な真似をして、すみません。
けれど、こうでもしなければ…貴女は、どんな無茶な手を使っても彼女を止めようとするでしょう…?》




その酷く懐かしい声は、私の脳を、心を、むちゃくちゃに掻き乱す。

何故?どうして、貴方がいるの?

どうして、そんな泣きそうな顔をしているの…?




《サヤ、彼女は…『サクラさん』は、貴女が傷つくことなんて望みませんよ》


『っ…!?』




“サクラさん”

その言葉を聞いた瞬間、私の中には一気に大量の情報が『戻って』きた。


混乱と衝撃で忘れかけていた。


ここはインフィニティ。
人がチェスの駒のように戦うこの大会で勝ち抜き、オーナーである"彼"を倒せば景品である『次元を越える力』を手にすることができる。

旅を共にするサクラが“嘘”をついてまで欲しがっていたのは、それだった。

しかも、この先の未来で起こる最悪な結末を回避するために、自分が犠牲になろうと言うのだ。

そんなこと、私が許せるはずもない。

誓ったんだ。
小狼君も、サクラちゃんも…絶対に、この手で守ってみせるって。

あの人を目の前で失った私だから、言える。

小狼君の目の前で、たとえ体だけだとしても…彼女を、サクラちゃんを、傷つけさせるわけにはいかない。

それを防ぐために、ここへ来たというのに…!!

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