novel
□解らない
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つい最近まで暑苦しくてうっとおしかった太陽の光も優しい光に変わり、7分丈のTシャツじゃ風が肌に染み渡る程の寒さになってきた。
約束の10分前に私は待ち合わせ場所のコンビニの前に着いて、目の前の風景を眺めて、ただ呆然と友達を待つ。
いつもと変わらない朝ーーーーーーー
そして10分後…
「ごっっめん!待った〜?」
庄原 海は、自身の顔の前で両手を合わせて、私に頭を下げる。
「ううん、今来たとこ。」
私はいつものように微笑を浮かべて、自転車を走らせようとペダルに足を乗せた。
それを見た海も私と同じように、ペダルに足を乗せた。
「あー、やっと金曜日かぁ…今週は何だか長く感じた!」
「ほんとだよねー、あぁ…またあの担任の顔を拝まなきゃいけないのかぁ…嫌だなぁ。」
朝から海と私は大きな溜め息をついて、憂鬱そうな表情を浮かべながら自転車を走らせる。
私はこのことについて別に何とも思わなかった。
登校中に海とそのような話をするのはいつものことだった。
しかし、この後海が口にした言葉はいつもと違っていた。
「ところで苺、ちょっと言いにくいんだけど…ぶっちゃけ、黒田のことどう思ってんの?」
突然の問いに驚いた私は、その海の言葉で目が覚めた。
「…どうって?」
私は冷静に対応した。
黒田と私の噂は相変わらずどころかどんどんヒートアップしていく一方だったので、もう今更怒鳴る気力も最近は起こらなくなってきたのだ。
それでも急に声のトーンが低くなったせいか、海はちょっと気まずそうな顔をしながらはっきりと言った。
「いや、だからさ…好きなのかってこと。友達としてじゃなくて、それ以上……男として。」
「だから、海にはいつも言ってるじゃん?友達としては好きかもしれないけど、男としてなんて有り得ないって…。」
私は呆れ顔で海を横目で見た。
彼女は表情を曇らせていた。
「じゃぁ、恋愛対象じゃないんだ?」
「………。」
私は返答に困ってしまった。