novel
□とある計画
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時は11月だというのに、その日は季節に似合わないライトブルーの空が広がっていた。
「あーっ、旨ぁっ!」
私は口いっぱいにたこ焼きを頬張った。凛はカレーをと水を交互に口に運び、葵はフランクフルトにかぶりつき、麗はフライドポテトを食べていた。
今日は待ちに待った文化祭!
私のクラスの出し物はーーーーーーーー
「…何だっけ?」
全く思い出せない。普段、授業等全く聞いていないからだろうか。
「なんだっけ?って……苺、お前大丈夫か?」
「あー、大丈夫。思い出したよ!」
葵が呆れ顔で言ってくるので、思わず嘘をついてしまった。
(まぁ、いいや。クラスに着いたらどーせ解るし。)
そんなことを思いながら最後の1個を口に入れると、丁度他の3人も食べ終わったようで、私達は自分達のクラスに戻った。
「じゃ、働くかー。」
葵は少し気だるそうに教室のドアを開けた。
すると、中から黒田が出てきた。そこまでは別に良かったのだが…
「春野!助かった…誤解すんなよ!?お前ら人気メイドがいなくて客がどんどん減るからこんなことになったんだからな!?」
そう言って黒田は持っているお盆で身体を隠した。
無理もない。彼は今、とんでもない格好をしているのだから。
「黒田、あんた……。」
白いパニエでフワッとさせたワンピースにフリルのエプロン。胸元から腹にかけてピンクのリボンがクロスになっていてそれが首でちょこんと小さな蝶々結びをされている。そして頭にはヒラヒラしたヘッドドレスと、白くて長い……耳?
そう、黒田はうさ耳メイドのコスプレをしていたのだ。
「あんたさ…」
「な、なんだよ…?」
「…うさぎさんだったのね…?」
「………はっ?」
あまりの驚きにそんな訳のわからない言葉しか出てこなかった。
「ま、まぁとりあえず仕事だよ、仕事!!」
凛は両手を2回叩くと、そそくさと教室へ入っていった。
それを見た葵と私も続いて入っていくのだった。
「凛……こ、これってさぁ…。」
「ん?どうしたー?」
戸惑う私とは対照的に、凛は手慣れた手つきで腰のリボンを整え、白の猫耳を着けた。黒田と似たデザインの、白いメイド服だった。
一方、葵は少しぎこちない手つきで首にチョーカーを着けているところだった。
凛の純白の衣装とは異なり、キャラメル色の可愛いメイド服。袖にも裾にもレースがついていて、どちらかと言えばロリータに近い格好だった。
「これ、おかしくないですかっ!?」
私は思わず声を上げた。
『何が?』
凛と葵は不思議そうな顔をして私を見た。
メイド服やロリータといったマニアックな服を着た2人の視線に耐えきれず、ついに私は折れてしまった。