短編2

□勉強の息抜き
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「…眠い。すっごく眠い。今ならのび太くらいの早さで眠れる気がする」

「……寝ないでください。寂しいじゃないですか」

「えー……」


 むぅ、と伊月センパイが頬を膨らませる。ものすごくつつきたいのを堪えてセンパイから目を逸らす。こっち向けよ、なんて照れ隠しの上から目線で言われるが、応えずに教科書に目を落とす。化学の教科書だ。明日の小テストまでに元素の周期表を覚えないといけない。
 水素、ヘリウム、リチウム…覚え方で有名な歌を思い出しつつ暗記する。
 後ろから名前を呼ばれたけれど、目線を変える気はない。ベッドにもたれたまま周期表を睨む。

 端的に言うと、今のセンパイはすごいのだ。

 ベッドに横向きに寝そべっていて腰のラインがくっきりしていて、眠いから目がトロンとしていて。私服の黒いVネックから覗く鎖骨が、体勢ゆえに浮いていて。かわいいのだ。色っぽいのだ。かわいいのだ。


「くーろーこー」


 しかも、声の気だるさが色っぽく、眠たさがかわいい。
 半端なく眠いからか半端なく甘えたになっているセンパイは、半端なくかわいく色っぽいのだ。元素を呪文のように心の中で唱えても、雑念が払えない。


「黒子、いっしょに寝よう」

「…え?」

「そしたら寂しくないだろ?」


 うっかり後ろを振り向いたら、ふにゃりと笑うセンパイがいた。のそのそと動いて、ボクの腕を掴んでくる。そして引っ張り上げてきた。ボクの体はいつの間にやらベッドの上だ。教科書は床に落ちている。
 あたたかいものに体を包まれたかと思って見てみたら、センパイと掛け布団に包まれていた。目の前に、かわいくて色っぽい、センパイ。文句ないだろ? と言いたげに笑って擦り寄ってくる。


 まろやかな体温と、立ち上るセンパイの匂い。
 理性を切るには十分だった。


 身を起こして掛け布団を床に落とす。強襲した寒さにびっくりしているセンパイに跨がって、その手首をシーツに縫いとめる。


「え、と、……黒子?」

「伊月センパイ、ボクも男です。欲情するんですよ」

「よ、よくじょ…っ」


 みるみる顔を赤くするセンパイ。状況を飲み込んできたらしい。口をパクパクさせている。そんなことをしても、ボクを煽るだけなのに。
 Vネックの襟を伸びない程度に下げて、真っ白い肌に吸い付く。それだけで、敏感なセンパイは声を上げた。


「あ、や…っ、くろ、こ」

「センパイ、かわいいです」

「ん、ぅ、っよく乗馬して欲情…っ」

「変態ですね」

「ちがっ、オレじゃなく、てっ、ん、だじゃれ…!」


 駄洒落でボクを萎えさせる作戦だったかもしれないけれど、まったくの無意味だ。…センパイは自分の駄洒落の寒さを知らないから、作戦ではないか。
 服の裾から手を忍ばせて、滑らかな肌を撫でる。脇腹や胸を指が滑るたび、ヒクヒクと跳ねる体に、たまらなくそそられる。
 固く尖った突起をつまみ上げると、センパイは身を縮めた。


「ひっ、ぁっああん、黒子、くろこ…!」

「はい、何でしょう」

「そこ、そこやだ…っ」

「センパイ乳首大好きですもんね」

「そんなこ、ひぅっ、……ふ、ぁっあっう」


 Vネックを脱がせて、赤く熟れた乳首に生唾を飲み込む。衝動に従ってしゃぶりついた。センパイのものだというだけで興奮して、甘く噛んだり強く噛んだり、思いきり吸いついたり、好き放題する。
 ズボンと下着も脱がせてセンパイの勃ちあがった性器を擦り上げる。閉じられようとする足の間に入り、トロトロ溢れる先走りを手に絡め、塗りつけるように。


「っ、くろ、こ…ぁっ、出し…たい…っ」

「どうぞ」

「ひ、う! く…っんぁっああ…! …っはあっ、はっ…」

「溜まってたんですね……随分と濃い」

「ん……っあ! やっ、やだっ! くろ、まっ…んぁ!」


 達したばかりのセンパイの性器を扱きながら、後孔に指をつぷりと差し込む。最初からしこりをつついて引っ掻く。
 達した直後で敏感になっているセンパイは目を潤ませて唾液を垂らしながら喘いでくれた。震える性器の先端に口付けして吸い上げると、軽く達したようだった。
 センパイの足を肩にかけ、ボクも自分の性器を取り出した。今回も元気に屹立して我慢汁を流している。


「じゃあ、挿れますよ、センパイ…」

「ん…。……っぁ、はああんっ! ひっ…や、あっ…」

「…っ少し、キツいですね……動きますよ」

「っや! まって、まだぁ…っ」

「すみません無理です」

「っひ!? あ、な…で、おっきく……ふあっ! また…っ」

「嫌がるセンパイが可愛くて…」


 それと、「おっきく」発言が何だか卑猥で。
 どえす、と啼かれるのにも構わず、センパイを突き上げる。それに合わせてセンパイのしなやかな体はカクカクと揺れた。なぜだろう、その揺さぶられる様にとても興奮した。それが性器に伝わったらしく、センパイがまた嬌声じみた悲鳴をあげた。それすらも興奮材料だ。
 アナタの全部がボクの興奮に繋がるのだから、諦めてしまえばいいのに。


「ひっあ……やあっ! あ、あ、っあ、くろこ、だめ、も…っ、だめっ!」

「そう、ですね…っボクもそろそろ…」

「ん、っふ、い、っしょに、イこ…か、……ふあ、ん! あっひ…」

「…これ以上大きくされたくないなら、黙った方がいいですよ」

「く、ろ…くろ、こ! やぁ、ん、は…っ、」

「……懲りない人です、ねっ」


 またまた更に膨張した性器で一番奥を突くと、センパイは目を見開いて背中を反り返らせて、白濁を噴かした。締め付けに反応したボクの性器も、同じものをぶちまける。
 カクリとセンパイの体から力が抜けた。眠ってしまったらしい。そういえば、眠いと言っていた。もう一、二回くらいしておきたかったけど、ボクも、そこまで鬼ではない。


「…おやすみなさい、センパイ」


 数時間後に目覚めたセンパイに「小テスト、満点取らないと一週間えっち禁止」と言われたけれど、そう言われるのを見越してセンパイが寝ている間も勉強していたから、翌日のテストではバッチリ満点を取れた。



END.









* * *
天然煽り魔伊月先輩と、余裕なくポーカーフェイスの黒子、でした。煽り魔ってなんぞ。相手を煽りまくって結果が自分に返ってきまくりな人のことです、きっと。

 

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