短編
□大馬鹿者の奇怪奇行
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秋雨がザアザアと地面や建物や傘や草花に当たる音が聞こえる。静かなようで静かでない、十月の放課後。
聞こえるのは雨音だけではない。雨とは違う水の音。東京の雨とは別の意味で綺麗じゃない、ぐちゃぐちゃの音。
「ん、ふ、ぁ、…ぅあっあっあぁ! ……ひ、ぁっ! やめ…あおみ、ね、」
「ぐっちゃぐちゃだなあ赤司。そんなにアイツで感じたのか?」
「あん…っ、ちょ、だ、っだめ、くぁっ」
掃除以外で人が来ることはまずない、空き教室。
赤司はそこで、恋人である男に押し倒され、半分以上ムリヤリ犯されているところだった。
なぜこんなことになっているかというと。話は二十分前まで遡る。
* * *
二十分前。赤司はとある男子生徒と二人で、空き教室にいた。先に言っておくが、その男子生徒は青峰ではない。ただのクラスメイトだ。
彼は五日前赤司に告白してきて、振られた男だ。そこで赤司への熱は冷めたものと思っていたが諦めきれていないらしく、それを伝えてきた。
赤司の答えは五日前と変わらず「ノー」だったが、赤司は自分が、自分を抱いてくれる男を探していたことを思い出した。
「絶対にオマエとは付き合わない。オマエを好きになる確率はゼロだ。それでもいいなら、」
オレを抱くか?
その提案に彼は頷いた。自分の提案は彼にとって酷すぎるものだと思っていたが、そうでもなかった。彼は物凄く喜んだ。
ではさっそく、と言わんばかりに、彼は赤司を押し倒した。口付けて舌を入り込ませてくる。深いキスは初めてだったが、赤司は自分の舌を動かし、応えてみせた。
彼の手が赤司のネクタイを取って、ブレザーとシャツのボタンを外した。首筋を甘噛みされながら乳首を指で転がされる。中々気持ちよかったが、マグロといわれる反応しか返せていない気がする。これはマズイ。
彼が赤司のズボンに手を突っ込もうとした時、ドアが開いた。さすがに焦った。まさか人が来るとは。
「……何やってんだ」
入ってきたのが恋人だったので、さらに驚いた。
* * *
教材を運びにきたらしい青峰は、あの後男子生徒を殴り、追い出し、ドアを閉めて鍵をかけた。
こちらを向いた青峰の目は怒りやら猛りやら劣情やらでごっちゃになっていた。この自分が身震いするくらい、獰猛な眼差しだった。両手を頭上に纏められて押さえつけられた。
そうしてこうしてこんな理由で。
赤司は、青峰に犯されている。
「ふ、ぁ! ひんっぁ、ぅ、いや、だ、やっ」
青峰の手のひらが赤司のもの全体を扱き、人差し指がカリ部分を、親指が尿道の先を抉る。主に人差し指と親指の影響を受けて、赤司は白濁を飛ばした。
赤司の息が整わないうちから、青峰は行為を続ける。乳首の周りの色づいたところを摘ままれ、引っ張られる。快感が足りなくて少しもどかしい。
「ひ…っふあ、青峰、っ…」
「イきっぱなしと、ずっとイけないの、どっちがいいか?」
「や、らぁ…っ」
「じゃ、どっちもにすっか」
「っ! ぅ、やぁ…、あっあぁ、ひんっ」
青峰がネクタイで赤司の根本を結んだ。机から卵形のピンクの機械を取り出して、赤司の乳首に当てる。
「弱と中と強、どれがいい」
「…オフで」
「じょーだん」
かちり、と音。同時に来る震動。乳首がじんじん痺れて熱くなる。
「っやああぁ! ひ、んっあぁぁっ、っ、ふ、ああっ!」
「まだ中だぜ赤司」
強かと思った。
青峰はまたも机から取り出した手錠で赤司の手を拘束した。
「この教室の机、こーいうオモチャがいっぱいあんだぜ。アイツ、オマエにこんなことしようとしてたんだなぁ」
快楽にぶちこまれた赤司に帝光中の性事情を心配する余裕はなかった。
かちり、と音がして、熱いくらい甘い痺れが強まった。
「ひあああっ、ああぁぁっ、や、も、やだ…っ、っきたい…!」
「あとほら、にょーどーに挿れるヤツ」
シャーペンの芯四、五本くらいの太さの細長い金属の棒。赤司はそんなものが中学にある驚きや、それを使われる驚きで、涙を流す目を見開いた。
身を捩って逃れようとする赤司の腰を掴み、乳首のローターの電源を切り、青峰は尿道に棒を埋め込んでいく。途中遊ぶように向きや角度を変えつつ。
「あっあっ、ふ、ぁあっ…」
「腰揺れてる、赤司」
「ん、るさい、っぅく…っ」
「まだそんな元気なのか。ちょっと尊敬するわ」
「ふ、ひうぅっ、げん、きじゃな…っむり…イきた、」
くに、と。赤司の発言を遮るように、後ろの穴に赤司の先走りで濡れた青峰の指があてがわれた。マッサージするように入り口を押してから、中に滑り込む。
「あ、ひっやぁ…んぅ」
「きっつ…指食いちぎりそうだな…」
「…んっ、は、ふぅっいぁ、ぁ…?」
指が二本、三本と増えていったと思ったら、引き抜かれた。そして冷たくて固いものが入り口に押し付けられた。
それは先程乳首を揺すっていたローターで。赤司の後ろの穴に、入っていった。ローターを内壁のそこかしこに当てていかれる。
へその裏の、少し下辺りを掠めた時、赤司の腰と声が跳ね上がった。
「ひぃあっ、っなに…?」
「ここか、赤司のイイトコ」
青峰の指が抜ける。ローターが、酷く刺激を与えるソコに置き去りにされる。
ローターからのびるコードの先のスイッチと、尿道に突き刺さった棒の先端にあるスイッチに、青峰の指が置かれる。指がスライドし、電源が入った。
「…あぁぁぁっ!? ひ、やあぁぁっ、ふっ、く、っひああっん、っ」
尿道を小刻みに振るわすバイブと、「イイトコ」に当たったまま震動するローター。
尿道から外に出ようとした快感が、出口が塞がっているのを見て体中を駆け回っているようだった。体を床に擦り付けたり、腰を捻ったりして快感を沈めようとするが、上手くいかない。唾液が口元から流れる。
何よりイけないのがつらい。赤司は何度も体を反らした。
「絶景、だな」
「あ、おみね、も、やだぁ…っイきたい、っ、イか、せて…っ」
「しゃーねえな」
性器を拘束していたネクタイが解かれる。が、尿道に刺さっているバイブのせいで達せられない。
青峰はバイブをくぽくぽと上下に動かした。尿道を擦る快楽が、また赤司を狂わす。
「や、だ、やだ、青峰、っはやく…っんん」
「ほらよ」
「あ、ふ、ふあぁぁぁっ! …ん、ひぅっ」
尿道バイブとローターを引き抜かれ、赤司は二度目の白濁を飛ばした。
意識が飛びかけたが、軽くと強くの中くらいの強さで頬を叩かれて目を開ける。
「なに終わった気になってんだ」
「ん、ぁ……」
「ずっとイけないのは終わったから、次はイきっぱなしな」
「ひ…い、いやだ…っ、…ひああぁぁっ!」
いつの間に脱いでいたのか。青峰が赤司の後孔に押し込まれた。達したばかりで萎えていた赤司の性器が、少しだけ立ち上がる。
青峰の性器の形がはっきり分かって、今更のように、先程まで以上に赤面する。
「せめーな、やっぱ」
ぽつりと呟いた青峰が、自身をゆっくり引き抜く。先端が入り口に当たった時、抜いた何倍もの速さで貫いてくる。奥まで突かれる快感に、赤司は思わず体内の青峰を締め付けた。
「ん、ぅあっんっ、ひゃ、ああっ! …ぁお、みね、んっあっ」
ガツガツと、青峰が角度を変えつつ赤司を深く突いていく。そして、青峰が指で、ローターで捕らえた「イイトコ」を探り当て、ソコを何度も突いていった。
背中が床に擦れる僅かな痛みさえ快感だった。
「あ、あっ! 青、峰っイく…っ」
「ん、っ、あー…オレも」
そして放たれる温かい液体。赤司は、それが体内に入ってきた衝撃で、三度目の白濁を溢した。
青峰は、荒くなった息を整える赤司を抱き抱え、対面座位の形をとった。体内の青峰の当たり方が変わって、赤司にまた痺れが来る。
「これで終わり、とか思ってねーよな?」
むくむくと大きくなっていく青峰に、赤司は顔を青ざめさせた。
「イきっぱなし、って言ったろ?」
* * *
青峰は、合計して五回イった。赤司は何回イったか分からない。二ケタはイったと思う。
辛うじて意識を引き留めている赤司を正面から抱き抱えて、青峰は口を開いた。
「オマエ、いつもあーいうのやってんのか?」
あーいうの。言わずもがな、他の男と寝ようとしたことだろう。
赤司はぐったり青峰にもたれたまま、首を横に振った。
「今回が初めて?」
頷く。
「…何であんなことしたんだよ」
「……オマエは、キスもセックスも巧そうだから…」
「は?」
喉は痛いし声はがらがらだが、耐えて話す。
「…練習しておこうと思った」
「バカか」
即座に言われた。しかも、青峰に言われたらおしまいな言葉を。
反論しようとしたが、背に回った腕の輪がきつくなって胸が詰まったから、言えなかった。
「下手でもいいんだよ。オレが育てる」
なんだそれ。
でも自分は、他の男を練習台にしなくてもいいらしい。堪らなく安堵した。実際青峰は巧かったから、練習しようと思っていたのだ。
「次やったらヤり殺すからな」
本気の声音だった。
了承の声を出す気力もなくて、赤司は返事の代わりに、目の前の青峰の首筋に口付けた。
END.
* * *
エロいれたら滅茶苦茶長くなりました。途中で飽きずに後書きまで読んでくださった方、ありがとうございます。
初エロがまさかのお仕置き。しかも途中からお仕置きというかただの微鬼畜。もっと激しくしたかったのですが、量が多くなるので泣く泣く断念。
赤司様が若干アホの子になりました。他の男を練習台とか。